刑期を忘れた高齢受刑者も 広島の刑務支所、出所後見据え特別訓練

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作業療法士とマット作りの訓練に取り組む高齢受刑者(右)=広島県尾道市防地町の尾道刑務支所で、渕脇直樹撮影(※画像を一部加工しています)
作業療法士とマット作りの訓練に取り組む高齢受刑者(右)=広島県尾道市防地町の尾道刑務支所で、渕脇直樹撮影(※画像を一部加工しています)

 尾道刑務支所(広島県尾道市防地町)は、認知症や筋力の衰えなど高齢者特有の問題を抱える受刑者の心身の健康維持を目的に、特別な訓練を実施している。現在70~80代の3人が作業療法士らの指導を受けながら、出所後の生活を見据え取り組んでいる。【渕脇直樹】

 2月下旬、70代の男性受刑者が支所2階の食堂でラグマット(厚手の敷物)作りに取り組んでいた。網の目状のシートに赤や青のアクリル毛糸を通して結ぶと、カラフルな魚の柄が浮かび上がった。作業療法士2人と輪になって棒を投げ渡す運動もあり、男性の顔には笑顔も見られた。

 男性は「1年近く(刑務支所に)入っている」と話す。ところが実際の入所は2019年。殺人と銃刀法不法所持の罪で服役中のこの男性は受けた刑期を覚えていないのだ。訓練を担当する作業療法士は「この作業をしなければ(認知症が)進む」と話す。

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