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おむすびで心も体も元気になってほしい--。能登半島地震で大規模火災に見舞われた輪島朝市(石川県輪島市)の近くで、大学生中心のボランティアグループが早朝から無料のおむすびを作り、被災者や全国から来る支援者の胃袋を満たしている。屋号は「輪島朝市むすび」。活動は1カ月超に及び、今では街の“人気店”に成長した。
「おむすび2個ちょうだい」。15日午前7時すぎ、近くに住む岩野谷幸治さん(85)がのれんをくぐって店に入ってきた。「スープもいりますか?今日はコンソメですよ」。店番の北村優斗さん(21)が声をかける。店内にはサンマのかば焼きが入ったおむすびなど3種類が並び、無料で取り放題。具は日替わりで、汁物も提供する。店内にはテーブルや椅子もあり、学生スタッフらと世間話をしていく被災者も多い。
岩野谷さんは近くの県営住宅に一人暮らし。地震後は断水の影響でパックご飯などを食べる生活が続いたが、散歩ついでに輪島朝市むすびに立ち寄り、朝と昼用に2個もらうのが日課になった。「自分で作らんでもいいし、助かるわいな。若い子と話せば元気も出る」と笑顔を見せた。
朝市むすびの始まりは、避難所で暮らすある女性の「朝早く仕事へ出発する夫が避難所の朝食を食べられず、いつも菓子パンやビスケットを食べている」との言葉がきっかけだった。大学を休学中で神奈川県からボランティアで入っていた北村さんら学生は「何とかしたい」とおむすび作りを思い立ち、食材を寄付でまかなうなどの開店準備を進めた。2月20日、休業中の菓子店の1階を借りておむすびの提供を開始。当初は朝のみだったが、昼前まで客が絶えず、午前6時~午後6時ごろまで延長した。
北村さんら約5人は店舗の2階で寝泊まりし、朝5時からおむすび300~400個や汁物作りを始める生活を送っている。1日に約80人が訪れるといい、地元住民だけでなく、県外からのボランティアなどの利用も多い。工事現場へ向かう前に仲間と立ち寄った輪島市の土木業、船本佳邦さん(58)は「地震で家が壊れている人ばかり。朝ご飯がないから助かる」と喜ぶ。
「『いつも作ってくれて力になるよ』と声をかけてくれるお客さんもいた。支援を届けたい人にちゃんと届いていると感じてうれしい」という北村さん。4月からは地元店の営業再開を見据え、有料化を検討しており、「うちだけ無料を続けて、(地元店の)お客さんを取るわけにはいかない。いただいた代金で地元の店から良い食材を買い、具を豪華にするといった還元の仕方をしていきたい」と話した。【古川幸奈】
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