視覚障害者の歩行、AIカメラがアシスト 首にかけ振動で危険を通知

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首にAIカメラをかけ、左手には赤信号の場合に振動する機器を持って横断歩道を渡る明治さん(左)。右はマリスCEOの和田さん=福岡市東区で2024年3月20日午前10時21分、山口響撮影 拡大
首にAIカメラをかけ、左手には赤信号の場合に振動する機器を持って横断歩道を渡る明治さん(左)。右はマリスCEOの和田さん=福岡市東区で2024年3月20日午前10時21分、山口響撮影

 視覚障害者の歩行を助ける人工知能(AI)システムの実証実験が福岡市東区のJR箱崎駅西口であり、AIカメラを装着した視覚障害者ら約10人が実際に横断歩道を歩いた。

 実証実験は、九州大箱崎キャンパス跡地(同区)で先進的な街づくりを目指す同大や福岡市などがつくる「FUKUOKA Smart EAST推進コンソーシアム」と、福祉機器開発「マリスcreative design」(東京)が連携して実施した。

 同社が開発中のAIカメラは、赤信号と横断歩道を検知すると機器を振動させ、利用者に危険を知らせる。また青信号になると振動が止まり、安心して横断できる仕組みだ。実際は視覚障害者が利用する白杖(はくじょう)が震えると想定。外部との通信が不要のため、災害など電波が不安定な場合も使える。同社は普及させるため、首からかけるヘッドホン型にした。

 福岡市視覚障害者福祉協会会長で全盲の明治博会長(68)はあいさつで「信号情報が分かるアプリも増えているが、スマートフォンを使えない人や場所では勘に頼らざるを得ないのが現状だ」と指摘。体験後は「しっかり手に振動が来て、これなら音の出ない信号でも渡れる」と評価した。同社最高経営責任者(CEO)の和田康宏さん(47)によると、AIカメラは2024年度末の発売を目指しており、「駅のホーム転落防止や障害物の回避もできるようにしたい」と話した。【山口響】

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