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この国が縮む前に

「外国人と歩む」日本選択 特定技能追加、移民警戒より人手不足

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ウズベキスタン国籍の社員(左端と左から2人目)らと談笑する日本WeP流通の安田修社長(右端)=東京都武蔵村山市で3月4日、横田愛撮影
ウズベキスタン国籍の社員(左端と左から2人目)らと談笑する日本WeP流通の安田修社長(右端)=東京都武蔵村山市で3月4日、横田愛撮影

 政府は29日の閣議で在留資格「特定技能」に4分野を追加し、2024~28年度は特定技能全体で最大82万人の受け入れを認める決定をした。人口減で急速に国が縮む中、「移民反対」の声はかき消された。4分野は外国人労働者の受け入れに向けて準備を加速させるが、課題も見えてきた。

 特定技能は人手不足が深刻な産業で外国人労働者を受け入れる在留資格。これまで12分野で認められていたが、今回新たに自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の追加が決まった。

 特定技能には、在留期間が通算5年の「1号」と、家族帯同の無期限滞在が可能な「2号」がある。特定技能以外の在留資格を含め、国内で働く外国人労働者は2023年10月現在で約205万人。特定技能1号で今後5年間に受け入れが見込まれる最大82万人は、その4割に当たる規模だ。特定技能の拡大は、この国が外国人とともに歩む道を選んだことを意味する。

 特定技能は19年、荒波にもまれながら創設された。自民党の保守系議員を中心に「事実上の移民政策だ」「仕事の奪い合いが起きて国益を損ねる」との異論が続出し、国会審議でも移民政策かどうかで応酬が繰り広げられた。政府は受け入れ上限や受け入れ態勢の整備について詳細な制度設計を示せず、野党側は「拙速だ」と反発。2号は、建設と造船の2分野しか認められなかった。

産業界 進む外国人頼み

 それから5年。日本の産業界は外国人労働者への傾斜をさらに深めた。…

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