再ブーム「地域通貨」生き残る道は PayPay併用の「二刀流」路線も
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2000年代初期のブームの後、下火となっていた地域通貨が、デジタル化を背景に再興している。だが、「電子地域通貨」の導入に踏み切った地域の多くは壁に直面。大手のキャッシュレス決済サービスと競合するケースも多く、専門家は「このままでは死屍累々(ししるいるい)になる」と警鐘を鳴らす。地域通貨は「多産多死」の歴史を塗り替えられるのか。【横田愛】
地域通貨、成熟期から転換期に
「が~やん」。かわいらしい子どもの声の決済音がスマートフォンから響く。東京都世田谷区で地元商店街が中心となって21年に導入した「せたがやPay」。新型コロナウイルス禍を経て、地域限定で使えるアプリ式決済サービス「ご当地Pay」が増えている。
専修大経済学部の泉留維(るい)教授は、デジタル方式の地域通貨の稼働数を調査。19年末と23年末を比較したところ、特定の地域内で価値を循環させる「デジタル地域通貨」が「13→52」、商品券のような使い切りの「デジタル地域決済」が「4→106」、歩数に応じた健康ポイントの付与などの「地域ポイント」が「15→61」と、いずれも大きく伸びていた。
泉教授は、紙の地域通貨がブームとなった01~07年を「発展期」、ブームが去り少数が残った08~19年を「成熟期」と位置づけ、20年以降はキャッシュレス決済の普及とコロナ禍が相まって「転換期」に入ったとする。
「非接触」、国が推進
増加の背景には、国の後押しがある。コロナ禍で政府は、感染対策の一環としてキャッシュレス決済の導入を推奨。経済対策や岸田文雄政権のデジタル田園都市国家構想でも、電子地域通貨などを交付対象メニューとし、財政支援もしてきた。
盛岡市と地元商工会議所、商店街などが21年3月に始めた決済アプリ「MORIO Pay」もその一つだ。国の新型コロナ対策の交付金2300万円を活用して導入。スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、現金を事前にチャージして市内約1000の加盟店で決済すると、200円につき1ポイント付与される。たまったポイントは加盟店で使える。
自治体にとって地域通貨は、都市部に流出しがちな資金を域内で囲い込める魅力のツールだ。一方で、昔も今も、加盟店と利用者の拡大がハードルとなる。コロ…
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