寝ていられないのに…医師の労働時間短縮の抜け穴?「宿日直許可」

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東京労働局が示した労働時間の集計表。表には「宿直を除外」とある。再審査請求でも、この判断は引き継がれた=2023年9月、宇多川はるか撮影
東京労働局が示した労働時間の集計表。表には「宿直を除外」とある。再審査請求でも、この判断は引き継がれた=2023年9月、宇多川はるか撮影

 くも膜下出血で寝たきりの状態になったものの、宿直による過重労働での労災申請が認められなかった50代の男性医師が、近く労災認定を求めて国を提訴することを決めた。男性側はこれまで、厚生労働省の労働保険審査会に労災の再審査を請求するなどしていたが、棄却されていた。

 労災申請を巡って焦点になったのは、4月に始まる「医師の働き方改革」を目前に申請が急増している、「ある特例」下での業務の取り扱いだった。

焦点となった特例とは?

 男性医師は労働基準監督署が労災を認めなかったのは不服として、東京労働局に審査を請求。労働局は、男性医師の宿直を労働時間と認めなかった。その理由として挙げたのが、「宿日直許可」という特例だ。再審査でもその判断を「おおむね妥当」としていた。

 宿日直許可というのは、宿直や日直勤務について、労基署長の許可を受けることで労働時間の規制から外れる仕組みのことだ。労働基準法で定められている。

 では、どんな基準を満たせば許可が得られるのか。

 厚労省は「ほと…

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