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小林製薬(大阪市)が機能性表示食品として販売する紅こうじのサプリメントを摂取した人から健康被害の報告が相次いでいる問題で、同社は28日、摂取との因果関係が疑われる死亡例を新たに2人確認したと発表した。死亡例は計4人に拡大した。岸田文雄首相は同日の参院予算委員会で「原因の特定を進め、再発防止にいかなる施策が必要なのかを政府としても検討していく」と述べた。
株主総会 小林社長が陳謝
小林製薬は28日、大阪市内で定時株主総会を開き、小林章浩社長が「多大なご迷惑をおかけしており、深くおわび申し上げる」と陳謝した。一連の問題で死亡例が確認された後、小林社長が公の場で発言するのは初めて。同社は29日午後2時に大阪市内で記者会見を開き、小林社長らが健康被害の把握状況や今後の対応を説明する。
新たに確認された2人の死亡例は、いずれも27日に遺族から同社に連絡があった。2人はこれまで判明していた2人の死亡例と同様に同社のサプリ「紅麹(こうじ)コレステヘルプ」を摂取。1人は2021年ごろ、別の1人は22年に使用し、いずれも腎疾患と疑われる症状が出ていたという。
同社は23年4~12月に製造したサプリの一部から、健康被害との関連が疑われる未知の成分が検出されたと説明していた。新たに判明した2人の死亡例は、この製造期間より前に出荷されており、同社は詳しい状況の確認を進めている。
小林製薬は紅こうじ原料を他社にも販売しており、供給を受けた食品メーカーなどが相次いで商品の自主回収を発表している。農林水産省は28日、食品や流通業界に小林製薬の紅こうじのサプリの商品回収への協力を要請した。
消費者庁は28日、約7000に上る機能性表示食品の緊急点検を始めたと発表した。4月12日までに重篤な健康被害に関する情報を得ているか回答するよう求める。
小林製薬は紅こうじを使ったサプリの健康被害や製品の自主回収を22日に発表。1月中旬に重篤な健康被害を把握したが、同庁に報告したのは自主回収発表の直前だった。
林芳正官房長官は28日の記者会見で、小林製薬に対し「国民に不安が広がっていることを踏まえて丁寧な情報の発信を求める」と述べた。中国や台湾などでも商品の回収が相次いでいることに関しては「WHO(世界保健機関)や在外公館を通じて外国政府に情報提供しており、日本の食品への信頼確保に努めていく」と説明した。
政府は29日に首相官邸で関係閣僚会議を開く。27日に関係省庁連絡会議を開いたが、被害報告の拡大を受け、閣僚級に引き上げる。林官房長官、自見英子消費者担当相、坂本哲志農相、武見敬三厚生労働相が出席する。【妹尾直道、阿部絢美、樋口淳也、古川宗】