柏崎刈羽原発 再稼働へ地元同意が焦点に 東電所長、理解求める

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=本社機「希望」から西本勝撮影 拡大
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=本社機「希望」から西本勝撮影

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の稲垣武之所長は28日の定例記者会見で、再稼働に必要な使用前検査の一環として、柏崎刈羽原発の7号機に燃料装着を行うことを原子力規制委員会に申請したと発表した。装着は4月15日を予定している。再稼働を求める国や地元の動きが加速する中、再稼働に向けた動きが一歩進んだ形だ。

 規制委が昨年12月に柏崎刈羽原発に対する事実上の運転禁止命令を解除して以来、再稼働に向けた地元自治体や国の動きが目まぐるしい。柏崎市、刈羽村の議会では早期再稼働を求める請願が採択され、資源エネルギー庁は県や地元自治体に再稼働を進める政府の方針を伝えた。4月には東電の住民説明会も予定され、焦点は地元同意に移っている。

 稲垣所長は、安全対策工事と燃料装着前の使用前事業者検査の最終確認を済ませたことから、健全性確認を進めるため、燃料装着の開始予定日を「4月15日」と記載し申請したことを明らかにした。装着後の制御棒を引き抜く原子炉起動の日程は「未定」として提出したという。

 燃料装着は、制御棒の動作確認などのために原子炉に核燃料を入れる作業で、自動運転の取替機で使用済み燃料プールにある燃料872体を1本ずつつかんで移動する。過去の実績から、装着に2週間程度、原子炉起動までは約1カ月半かかるとみられる。

 燃料装着後は、原子炉圧力容器などからの放射性物質の漏えいがないか、制御棒が正常に挿入できるかなど、設備の健全性確認を行う。保安規定に基づき、宿直態勢を現在の8人から緊急時の現場対応要員を含め51人に増員し、即応態勢を強化する。

 稲垣所長は「健全性確認は安全最優先の発電所運営に資するもの。作業を進める中で、気づきがあれば立ち止まり対応していく。進捗(しんちょく)状況は適宜、地域の皆様にお伝えしていく」と理解を求めた。

 一方、県内全30市町村で構成する「原子力安全対策に関する研究会(市町村研究会)」の代表幹事を務める長岡市の磯田達伸市長は28日、燃料装着を受け、「柏崎刈羽原発の安全・防災対策に市民は不安を抱えている。国や東電は、これまで市町村研究会などを通じて伝えた要望・要請にしっかりと取り組み、市民の不安に応えてほしい」とのコメントを発表した。【内藤陽】

あわせて読みたい

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月