公募、年齢制限の撤廃…非行少年を支える「保護司」確保へ中間報告

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保護司制度の見直しを議論している有識者検討会=東京・霞が関の法務省で2024年3月28日午後3時6分、飯田憲撮影 拡大
保護司制度の見直しを議論している有識者検討会=東京・霞が関の法務省で2024年3月28日午後3時6分、飯田憲撮影

 罪を犯した人や非行少年の立ち直りを支える保護司について、制度の見直しを議論している法務省の有識者検討会は28日、新たに公募制の試行や、新任時の年齢上限の撤廃を盛り込んだ中間報告を取りまとめた。検討会は2024年10月に最終報告をまとめたい考えで、政府は25年にも保護司法の改正を目指す。

そもそも「保護司」って?

 保護司は、法相が委嘱する非常勤の国家公務員で、交通費など実費以外は無給のボランティア。刑務所からの仮出所者や、非行で保護観察の対象となった少年らと定期的に面談し、住居の確保や就労支援を通じて再犯防止をうながす。

 法務省によると、全国の保護司は24年1月時点で計4万6584人で、定員の5万2500人を大きく割り込んでいる。平均年齢は65・6歳で高齢化も進む。法務省は23年5月から、大学教授や保護司らでつくる検討会を発足させ、人材確保先や待遇改善を論点に議論を進めてきた。

保護司制度を巡る中間取りまとめのポイント 拡大
保護司制度を巡る中間取りまとめのポイント

制度はどう変わろうとしているの?

 現行制度では、退任する保護司が自身の人脈を使って後任者を探し、保護観察所が法相に推薦する仕組みだったが、中間報告は、24年度中に幅広い層から候補者を募る公募制も試行するとした。自ら希望する人にも門戸を広げ、担い手確保を目指す。

 また、原則66歳以下としている新任の年齢制限も25年度から撤廃する。企業で定年延長が取り入れられるようになり、「第二の人生」として保護司が選ばれにくくなっている現状を踏まえた。併せて保護司法が定める2年の任期についても、活動意欲を喚起してもらうため、延長を検討する。

まだまだ検討課題

 一方、保護司に報酬制を導入するかどうかは最終報告まで継続して検討する。導入を巡り、全国の保護司へのヒアリングで「無報酬に不満を感じる」と賛成意見がある一方、「労働として捉えられ、適当ではない」と慎重な意見もあった。

 他にも中間報告は、職場の理解が得られにくいという声を受け、保護司の「兼職」を後押しするよう明記した。保護観察官が企業を訪問し、活動内容の説明を通じて保護司の兼職を認めてもらうよう求める。【飯田憲】

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