対応に追われたテレビと吉本 松本人志さん「性加害」裁判注視

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松本人志さん=大阪市福島区で2019年10月25日、山田尚弘撮影 拡大
松本人志さん=大阪市福島区で2019年10月25日、山田尚弘撮影

 お笑いタレント、松本人志さん(60)は1月、「裁判に注力する」として活動を休止した。出演していたレギュラー番組をすべて降板し、各テレビ局は番組名変更などの対応に追われた。昨年、旧ジャニーズ事務所の性加害問題の際は番組スポンサーの企業が次々と撤退するなど、性加害問題に対する人権意識は高まっている。各テレビ局は裁判の行方を注視している。

 松本さんは兵庫県尼崎市出身。1982年にNSC(吉本総合芸能学院)大阪校1期生となり、浜田雅功さん(60)とコンビを結成、「ダウンタウン」として活動を始める。以降多くのバラエティー番組に出演し、著述業や映画監督でも注目された。活動休止前にコンビや個人で司会を務めた番組は7本に上るほどの「超売れっ子」。お笑い、テレビ界での存在感は大きい。

活動休止で出演番組対応

 「松本人気」を頼りにしていたテレビ各局。「活動休止」の「ショック」は小さいものではなかった。フジテレビはバラエティー番組「まつもtoなかい」を「だれかtoなかい」に、「人志松本の酒のツマミになる話」を「酒のツマミになる話」に変更し、MCをそれぞれ二宮和也さん(40)、お笑いコンビ「千鳥」の大悟さん(44)に交代した。「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送テレビ)では、代役としてレギュラー陣が週替わりで局長を務めている。一方、浜田さんと司会を務めていた「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ)などは、代役を立てないまま番組を継続している。

松本人志さんが文芸春秋を訴えた訴訟の口頭弁論の傍聴を希望する人たち。地裁によると、19枚の傍聴券を求め、691人が並んだ=東京都千代田区で2024年3月28日午前9時27分、谷口豪撮影 拡大
松本人志さんが文芸春秋を訴えた訴訟の口頭弁論の傍聴を希望する人たち。地裁によると、19枚の傍聴券を求め、691人が並んだ=東京都千代田区で2024年3月28日午前9時27分、谷口豪撮影

 日本テレビの石沢顕社長は2月の記者会見で「裁判のなりゆきを注視している」と述べた。

態度急変した吉本興業

 もう一つ、対応が注目されるのは、松本さんが所属する吉本興業だ。週刊文春が最初に事案を報道した昨年12月、吉本は「当該事実は一切なく、社会的評価を著しく低下させる」と抗議し、法的措置を検討する方針を示した。1月、松本さんは個人として文芸春秋を提訴。その2日後、吉本の態度は変化する。外部弁護士を交え、当事者を含む関係者に聞き取り調査をして事実を確認していると発表した。週刊文春は松本さんとともに行動したお笑い芸人がいたとも報じていて、吉本側は「当社所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていた旨の記事に接し、真摯(しんし)に対応すべき問題であると認識している」との声明を発表した。

 態度変更の背景には、ジャニーズ問題などで、性暴力に厳しい視線が向けられつつある社会意識の変化がある。吉本によると、社外有識者も交えた「ガバナンス委員会」から、「何らかの形で会社としての説明責任を果たす必要がある」と指摘されたという。

 松本さんは第1回口頭弁論を前にした25日、「世間に真実が伝わり、一日も早く、お笑いがしたい」とのコメントを発表した。【谷口豪】

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