日本人医師がガザ現場入り「建物だけでなく、人の心も壊されている」

多くの避難民がテント生活を送るパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファ=清田明宏さん提供
多くの避難民がテント生活を送るパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファ=清田明宏さん提供

 パレスチナ自治区ガザ地区全域から約150万人の避難民が集まる最南部ラファに20日、医師で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保健局長を務める清田明宏さんが入った。イスラエル軍の侵攻が迫って市民の恐怖やストレスは極度に高まっており、清田さんは「建物だけでなく、人の心も壊されている」と訴える。

 イスラエルはガザへの人や物資の出入りを厳しく制限しており、外国人の入域が認められるのは異例だ。清田さんは4月上旬まで現地に滞在する予定。

 ガザの医療支援に長年携わってきた清田さんは「以前のラファとは全く違う街になった」と感じた。戦前は人口約30万人だったが、今は北部や中部など各地から避難民が押し寄せ、ガザの総人口の約6割にあたる約150万人が暮らす。空いている土地は避難民のテントでほとんど埋め尽くされている。ガソリンがないため、自動車は使われなくなった。通りは食料などを求めて歩く人々でごった返す。

 ガザ最大の人道支援機関であるUNRWAは現在、ガザ南部で六つの診療所と、70の簡易診療所を兼ねた避難所を運営する。ある避難所は定員は数千人だが、今は建物に約1万2000人、敷地内のテントに約2万7000人が滞在し、計約4万人が暮らす。だが清田さんによると、そこにトイレが16基しかない。

 空き地にテントを張る人は、地面に穴を掘ってトイレとして使う。衛生状態の悪化による感染症の拡大が深刻で、下痢…

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