武藤俊憲(46=フリー)がプレーオフ(PO)決着で初優勝を果たした。最終日は雨と濃霧の影響で中止となり、大会初日に6アンダーで並んだ嘉数光倫(34)清水大成(25)野上貴夫(52)の4人でPO。雨中の短期決戦で勝負強さを発揮。3ホール目の9番パー3でバーディーを奪って熱戦に終止符を打った。ベストアマには山下竜弥(19)、ベストシニアには野上が輝いた。競技が18ホールに短縮されたため、規定により賞金は当初の80%となり、武藤は240万円を手にした。

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歓喜の瞬間を迎え、最後はトッププロとしての振る舞いだった。武藤は大会初優勝を決定づけ、力強く右こぶしを天に突き上げた。「絵的に(ガッツポーズ)しないといけないでしょ。もちろんうれしいですけど、我々はスポーツなので。いいプレーで見せることはそうですし、優勝して見に来てるお客さんにも楽しいと思ってもらわないといけない」と責任感を口にする。その姿にギャラリーからは「おめでとう!」の祝福の声が飛び、大きな拍手も送られた。

「それが一番うれしい。これは優勝した人じゃないと分からない」。王者しか味わえない余韻に浸った。

異例の短期決戦だった。決勝ラウンドはあいにくの降雨、濃霧で中止に。大会初日に6アンダーで並んだ4人によるプレーオフ決着となった。46歳のベテランも「4人でのプレーオフ…。僕は経験ないですね」と苦笑い。「とりあえず最初は我慢比べ」。ボギーだけは命取り。1、2ホール目はパーで耐えた。

1人が脱落し、三つどもえとなった3ホール目だ。ピンポジションが変わり、「潮の目が変わる」と武藤は確信した。約13ヤード距離が短くなり、4番アイアンから5番にスイッチ。ティーショットでピンそば2メートルと絶好の位置につける。ライバルの2人はグリーンを外した。優勝への舞台は整い、最後は冷静に会心のバーディー。雨中の熱戦にけりをつけた。「ここしかないのを一撃で仕留めた気分ですね」と上機嫌だった。

次戦は国内男子ツアーの開幕戦、東建ホームメイトカップ(28日~31日、三重)に出場する。「久しぶりにいいゴルフになってきた。自分に期待しています」。第20回の記念大会でもあった北九州オープンを制し、19年パナソニックオープン以来のツアーVに向けて、大きな弾みとなった。【佐藤究】