ドイツ・サッカー連盟(DFB)は21日、2027年から米スポーツ用品大手のナイキとオフィシャルサプライヤー契約を結ぶと発表した。期間は2034年まで。これによりドイツサッカー界とアディダスとの70年以上にわたる関係に終止符が打たれることになった。

DFBのノイエンドルフ会長は「ナイキと協力していくことを楽しみにしています。今後10年間を見据え、サッカーの包括的な発展を目指してまい進します。しかし同時に、2026年12月まではドイツサッカー界が70年以上にわたって多大なる恩恵を受けてきた、現在のパートナーであるアディダスとの成功に全力を尽くします」とコメントした。

ドイツ代表チームはニュルンベルク近郊のアディダス本社を、今夏にドイツで開催される欧州選手権に向けた拠点として使用している。アディダス社はこの決定を「今日、DFBから知らされた」という。

男子のドイツ代表チームはアディダスのユニホームを着てFIFAワールドカップ(W杯)を4度制し、女子代表もW杯で2度優勝している。

公式発表後にDFBはX(旧ツイッター)で「私たちはあらゆる感情を理解しています。これまで多くの特別な瞬間を共有し、70年以上の歴史に終止符が打たれるのは私たちにとっても劇的な出来事です」と記した。さらにドイツサッカー界の経済的な事情を説明した上で「ナイキは入札プロセスにおいて、最も好条件のオファーを提示した」と明かした。

ただ、ドイツ国内では否定的な意見も多い。AP通信によると、ロベルト・ハーベック副首相は「3本線のないドイツのユニホームを想像することはできない。私にとってアディダスと黒、赤、金は常に一緒のものであり、ドイツのアイデンティティーの一部。もう少し愛国心がほしかった」と話した。