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習近平の中国

習近平体制は党大会を経て3期目が始動。権力集中が加速する異例の長期政権は、どこに向かうのでしょうか。

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不意の邦人拘束、民も学も「中国離れ」 アステラス社員拘束1年

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中国の天安門広場(上)と、アステラス製薬のロゴ=岡崎英遠、武市公孝撮影
中国の天安門広場(上)と、アステラス製薬のロゴ=岡崎英遠、武市公孝撮影

 アステラス製薬の日本人男性社員が中国・北京市でスパイ容疑などで拘束されてから20日で1年を迎えた。日本政府は男性の早期釈放を求めているものの、中国当局は刑事手続きを進めており、起訴の可否を近く判断するとみられる。在中日本人社会で懸念が高まるが、「国家の安全」を優先する習近平指導部は取り締まり強化の姿勢を崩しておらず、日中関係に暗い影を落としている。

起訴判断審査、中国当局が開始

 男性は2023年3月、帰国直前に北京市で拘束され、同10月に正式に逮捕された。今月18日には、中国当局から日本側に起訴するかどうかの審査を始めたと通告があったという。中国当局は原則として1カ月以内、最長でも6カ月半以内に起訴の可否を判断する。起訴されると公判手続きに入り、拘束がさらに長期化することは避けられない状況となる。

 男性の拘束理由について中国外務省は「スパイ活動に従事した疑いがある」と説明するが、具体的な容疑の内容は明らかにしていない。

 日本大使館は男性と領事面会を重ね、健康状態などを確認しているほか、1月には新たに赴任した金杉憲治大使も面会した。昨年11月の日中首脳会談でも、岸田文雄首相が習国家主席に対し早期釈放を直接求めた。

 男性は中国滞在歴が約20年のベテランで、医療分野などで中国政府関係者らと深い人脈を築いていた。同社の現地法人のトップや、日系企業で構成する「中国日本商会」の副会長を務めるなど知名度も高く、退職を控えた帰国直前に中国当局に拘束されたことが発覚すると、日本企業の駐在員など在中日本人の間に衝撃が走った。

「赴任希望者、減っている」

 中国では新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策が23年1月に撤廃された。日本からの出張者の増加が予想されたが、事件を受けて大企業のトップでさえ訪中を一時見合わせるケースも広がった。現在の出張者数は回復傾向にあるが、ある商社幹部は「元々敬遠されがちだった…

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