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センバツ高校野球1回戦(20日、甲子園)
○創志学園(岡山)7―0別海(北海道)●
創志学園の左腕・山口瑛太は試合前から冷静だった。右翼から左翼に吹く甲子園特有の強烈な浜風は「味方になる」と。曲がり幅の大きいスライダーを軸に、予感通りの好投で4安打14奪三振、131球で今大会完封第1号となった。
直球とスライダーのコンビネーションが抜群で、序盤から奪三振ショーだった。左打者には外へ大きく逃げ、右打者には向かってくるほど鋭く曲がるスライダーを強く意識させた。
同じ腕の振りから130キロ台の直球を内外角に投げ分け、四回を終えて、奪三振は「9」を数えた。別海の3番・立蔵諄介は「投げる瞬間まで(腕の振りは)スライダーと真っすぐで見分けがつかず、(スライダーは)急にきゅっと曲がってきた」と脱帽した。
山口に異変が起きたのは4点をリードした六回だった。奪三振を意識し、「力が入ってしまった」。制球を乱して先頭から2者連続で四死球を与えた。
2死一、三塁となり、警戒する4番・中道航太郎を迎え、初球は強烈な三塁線へのファウルを打たれた。だが、焦りはなかった。最後は高めに浮かないよう注意しながら111キロの変化球を投げ込み三ゴロを打たせ、スコアボードに「0」を並べた。
山口には悔いが残る1球がある。昨秋の中国大会決勝で敗れた広陵(広島)戦。先制しながらも中盤のピンチで直球が甘く入り、同点打を浴びた。
そのミスを踏まえて、冬場は勝負どころでの1球の重みを意識しながら鍛錬に取り組んだ。食事量を増やして体を一回り大きくし、球の質を磨いた。同時に持ち味のテンポの良さを失わないよう、体のバランスを意識してきた。
反省を糧に上がった大舞台のマウンドでは、要所を締めて完封劇を演じた。だが、本人の自己採点は「65点です」と辛口だ。制球を乱して走者を置いた場面を振り返り、「荒れてしまった回は自分の欲が出た。まだまだ」。謙虚な左腕は100点満点の投球を目指し、一戦必勝で日本一を狙う。【村上正】
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