昨季3位のサンフレッチェ広島が、同王者ヴィッセル神戸と真っ向勝負の末、敵地で価値あるスコアレスドローに持ち込んだ。

ともに互角の戦いを演じていたが、決定機の数は神戸が上回り、逆に広島の強固な守備陣の存在が際立つ結果となった。

先頭に立ったのは、ビッグセーブを連発した日本代表GK大迫敬介(24)だ。後半15分、神戸FW武藤の強烈な左足のシュートを、左手でセーブ。同44分には神戸FW大迫のボレーシュートを食い止めた。

「チーム全員のハードワークのおかげだと思う。協力して防ぐことができた。固い試合になるのは分かっていたし、最低限今日のような試合をしていると、勝ち点1が3になる」

ともに広島の下部組織出身で、5学年先輩の神戸GK前川との日本代表対決に臨んだ大迫は「こういう試合は、自分を中心に後ろが崩れないこと」。責任と自覚を示す結果になった。

3バックの中央に立つDF荒木隼人(27)も存在感を示した。後半15分、神戸MF山口のボレーシュートを、のどと胸の間に当てて食い止めた。直後はピッチでもん絶した。

「超痛かった。本当は頭でクリアしたかったが、シュートの速さと(短い距離を考えれば)感覚的に間に合わないから、壁となって止めるしかなかった」と振り返り、相手エース大迫との1対1のバトルには「なかなか大迫選手みたいな選手とマッチアップすることはないんで、自分にとっては楽しかった」。

主将DF佐々木翔(34)も3バックの左で、主に武藤と激しいバトルを展開。警告を1度受けながら、消極的なプレーはしなかった。

「(引き分けの)価値は高いと思うが、長いシーズン、これをいかに続けていけるかが重要。ここまで強度の高い試合は今までもあまりなかった。練習から強度を上げて、しっかりやりたい」

通算2勝2分けとした広島は、開幕からいまだ負け知らず。首位からは転落したものの、9年ぶりの優勝へと勇敢に立ち向かう。