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2024年春闘で賃上げの機運が高まり、日銀は近くマイナス金利を解除し、約11年続いた大規模な金融緩和を転換する公算が大きくなっている。異次元緩和の象徴のように取り上げられてきたマイナス金利政策の実像とは――。
5回に分けて「異次元」と呼ばれた大規模な金融緩和の全体像に迫ります。(第4回。17日まで連日10時30分公開予定)
1.異次元緩和の出発点
10年以上続けてきた大規模な金融緩和。その成り立ちを振り返ります。
2.量的・質的金融緩和
従来の金融政策を抜本的に見直し、「レジームチェンジ」(体制転換)を印象づけました。
3. 上場投資信託(ETF)【https://mainichi.jp/articles/20240314/k00/00m/020/196000c】
日銀が大量に購入しており、処理の仕方が問われています。
5.イールドカーブ・コントロール(YCC)
国債を買い入れて短期・長期の金利を押さえ込む政策。副作用がある「劇薬」とも言われます。
狙いは日銀に預けられた銀行のお金
マイナス金利は、16年1月に黒田東彦前総裁率いる日銀が導入を決めた。銀行などの金融機関が日銀に預けている「当座預金」の一部に、マイナス0・1%の金利を課し、銀行が一定額以上を預けると日銀に利息を払わなければならない仕組みだ。
お金を預けているだけで手数料を取られるようなもので、銀行は預金を投融資に回すようになり、景気を刺激する効果が期待された。マイナス金利の導入で金利全般が押し下げられ、企業などが銀行からお金を借りやすい状況を作り出したのだ。
そもそもなぜ日銀はマイナス金利を導入したのか。
黒田氏が総裁に就任して初めて開かれた13年4月の金融政策決定会合で、日銀は量的・質的金融緩和(異次元緩和)を導入した。その当時は国債を大量に買い入れ、市場に出回るお金の量を大幅に増やすのが主な狙いだった。
緩和策の目標は、安定的に年2%の物価上昇を達成することだったが、金利の低下やお金をたくさん刷ることで円高の是正や株価の上昇には貢献したものの、肝心の物価は思うように上昇しなかった。
「禁じ手」局面打…
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