特集

Gender

ジェンダー(社会的に作られた性差)にとらわれない、平等な社会とは?格差解消のための課題を考えます。

特集一覧

変わろう、変えよう

「女性=ピンク」今は昔 固定観念見直し、商品カラーも多様性

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
スズキの新型「スペーシア」のカラーデザインを担当した同社四輪デザイン部の村松彩さん(左)と佐藤優花さん。手に持っているのは色見本だ=スズキ提供
スズキの新型「スペーシア」のカラーデザインを担当した同社四輪デザイン部の村松彩さん(左)と佐藤優花さん。手に持っているのは色見本だ=スズキ提供

 ダサピンク――。こんな表現がネット交流サービス(SNS)上でささやかれてきた。もちろん色の好みやセンスは人それぞれで、ピンク色自体を否定する言葉ではない。「女性はピンクが好き」という固定観念でデザインされた商品が、女性にはかえってやぼったく感じられる場合に使われる。社会の多様化が進むにつれて、女性をターゲットにした商品に多用されてきたピンク色に変化が起きているようだ。

「女性=ピンク」は無意識の偏見

 2023年11月に発売されたスズキの軽自動車「スペーシア」の新型モデル(3代目)のラインアップからピンク色が消えた。

 13年発売の初代、17年発売の2代目にはピンク色も採用されていたが、なぜ変わったのか。

 「ランドセルが『黒は男の子、赤は女の子』と性別で色を分けられた時代もありましたが、今はそんなことはありません」

 そう話すのは、スペーシアのカラーデザインを担当した四輪デザイン部の村松彩さん(41)。同僚の佐藤優花さん(30)も「今は男女で分けて色を考えることはないですね」と同調する。

 村松さんと佐藤さんが「性別で色を分けることはない」と話した背景には、社会の意識変化がある。

 社会の多様化が進むなか、行政や企業では、性別や年齢、人種などに関わらず多様性を尊重する理念「DEI(多様性、公正性、包括性)」が重視されるようになった。色によって性別の「らしさ」を決めつけることは、克服すべき「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」の一つとされる。

 博報堂生活総合研究所の近藤裕香上席研究員は「『女性は赤かピンク』『男性は黒か青』などと色で性別を識別することが私たちにすり込まれている」と指摘し、「企業側も『これは女性向けの商品です』と直感的に理解してもらうマーケティング戦略の一つとしてピンク色を使ってきた」と解説する。

 「ダサピンク」という表現がネット上に登場したのは10年ほど前。ピンク色の家電や携帯電話などが「かわいい系」として売り出されていたが、安易なピンクだと受け止められた商品は「ダサピンク」の評価を受けた。

「多様性」にふさわしいカラーとは

 3代目スペーシアからピンク色が消えたのは、新型モデルのコンセプトで「多様性」を意識したことも…

この記事は有料記事です。

残り1720文字(全文2647文字)

【時系列で見る】

関連記事

あわせて読みたい

この記事の筆者

すべて見る

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月