首位から出た鈴木愛(29=セールスフォース)が、通算16アンダーの272。2位に6打差をつけ、昨年8月の北海道meijiカップ以来となるツアー通算19勝目を初日から首位を守る完全優勝で飾った。鈴木はこれまで5回の完全優勝を達成しているが、4日間競技では初となった。

表彰式に臨んだ鈴木は、圧巻Vにも淡々とした表情で思いを語り出した。

「今日はショットが乱れて、不安な時もありましたが、ここで優勝できた良かった。まだまだ若い選手に圧倒されていて、私ももうじき30代になるので、30代で活躍できたらいいなと思っています」

開催地と同じ四国の徳島出身だけに、話すうち、自然と笑みもこぼれた。

今大会は、4日間を通して風の強い大会となったが、ショットパットともに安定。他の選手から「1人だけ違うゴルフをしている」との声が上がるほどの完勝劇だった。

17年と19年に2度の賞金女王に輝いたが、その後はなかなか勝てなかった。コロナ禍の影響もあったとはいえ、21年資生堂レディスのあと、昨年のmeijiカップまで2年1カ月も待った。

5月9日には30歳になる。「まだまだやれると思うし、30代でも年間女王目指せると思う。でないと、モチベーションが続かない」。

“心技体”ではなく“技体心”。「メンタルの前に技術がないと意味がない」との考えを持ち、オフは再現性の高いスイング作りを目指した。「練習は苦にならない」と誰もが認める練習の鬼もトレーニングは好きではない。それでも、台頭する若手と渡り合うため、体幹のトレーニングにも取り組んだ。

今年の全米女子オープン(5月30日開幕)が行われるランカスターCC(米ペンシルベニア州)は15年に出場したときと同じ会場。「戦略性が高くて好きなコース。また行ってみて、当時と比べてどれくらいできるか」と挑戦したい気持ちがある。4月3日時点で世界ランク75位以内に入っていれば出場権が得られることもあり、今大会で良い成績を残したかったが、見事に結果を出した。【阪口孝志】

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