「育成の空白地帯」といわれる中堅社員は、既に経験豊富で自立していると判断され、指導や育成に対する優先度が低くなりがちだ。
ALL DIFFERENTが中堅社員に実施した調査結果(*1)によると、中堅社員の成長に役に立った会社の良いところとして、「職場の雰囲気・文化」が2年連続トップに挙がっていた。
このことからも、中堅社員は「職場の雰囲気・文化」に支えられて働いていることが推察できる。
そこで、ALL DIFFERENT(オールディファレント)とラーニングイノベーション総合研究所は、2024年12月に社会人5年目以上の役職がついていない中堅社員(*2)800人に対し、実際にどのような文化を理想と考えているか、「理想の職場の文化」を掘り下げる調査を実施した。
ミドルキャリアが理想とする職場の文化は「チームワークを重視する文化」
まずは、社会人5年目以上の役職がついていない中堅社員(以下、「ミドルキャリア」と記載)に対して、どのような雰囲気・文化のある会社で働きたいと思うか、14個の職場文化の項目から複数選択してもらった。
結果、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が31.4%と最も高い割合に。次に、「多様な考え方や働き方を尊重する文化」が18.3%、「成果や効率などパフォーマンスを重視する文化」が17.4%と続いた。
一方、特に割合が低くなった項目には「伝統や従来の手法を重んじる文化」(5.3%)、「お客様を第一に、常に外向きな文化」(7.0%)、「階層構造が明確にあり、上司に指示を仰ぎながら確実に業務を進める文化」(8.1%)が挙がっている。
次に、ミドルキャリアが現在働いている職場は、どのような文化であるかを質問したところ、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が28.5%と最大の割合となった。
次に、「努力やプロセスを重視する文化」が18.0%、「成果や効率などパフォーマンスを重視する文化」が16.3%と続く。
ミドルキャリアの理想の職場の文化と、実際に現在働いている職場文化に差はあるのだろうか。調査してみたところ、[現実]が[理想]よりも低く、最も差が出た項目は「多様な考え方や働き方を尊重する文化」で、9.0ポイントの差があった。
次に、「職位や部署を超えてフィードバックし合うフラットな文化」が3.8ポイント差で続く。理想の職場文化だと考える“多様性やフラットさの受容”に対して、現実は及んでいないと考えるミドルキャリアが多いことが判明。
ミドルキャリアが、現在勤務する会社で働き続けたい意向と、現在働いている企業の職場文化に、どのような関係があるか比較した。
まず、現在の会社で働き続けたいか質問したところ、「働き続けたいと感じる」は14.6%、「どちらかといえば働き続けたいと感じる」は41.0%、が「どちらかといえば働き続けたいと感じない」は28.8%、「働き続けたいと感じない」は15.6%であった。
「働き続けたいと感じる」「どちらかといえば働き続けたいと感じる」と回答した人を勤続意向者、「どちらかといえば働き続けたいと感じない」「働き続けたいと感じない」と回答した人を離職意向者として分類すると、勤続意向者は55.6%、離職意向者は44.4%の割合に。
次に、ミドルキャリアが現在働いている企業の職場文化を、勤続・離職意向別に比較した結果、勤続意向者の現在の職場文化は、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が36.4%と最大の割合となった。この割合は、離職意向者よりも17.8ポイント高く、約2倍だ。
次に、「成果や効率などパフォーマンスを重視する文化」が20.0%、「高い目標に向かい、切磋琢磨して成長する文化」が15.1%と続いた。
一方、離職意向者の現在の職場文化は、「努力やプロセスを重視する文化」が25.6%と最大となり、次に、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」(18.6%)、「伝統や従来の手法を重んじる文化」(12.1%)が続く
まとめ
ミドルキャリアが成長の役に立った会社のいいところとして「職場の雰囲気・文化」が最大の結果となったことを受け、実際にどのような職場の雰囲気・文化を理想としているかを調査した結果、「チームワークを重視する文化」を理想とする割合が最も高いことが判明した。
また、今の会社で働き続けたいと考える人は、現在働く企業の職場文化は「チームワークを重視する文化」があると答える割合が高くなっている。
なお、現在働いている職場文化と、理想とする職場文化を比較したところ、理想よりも現実の割合が低かった項目は「多様な考え方や働き方を尊重する文化」「職位や部署を超えてフィードバックし合うフラットな文化」などとなった。
「伝統や従来の手法を重んじる文化」「厳格なルールやプロセスがあり、規律を重んじる文化」は、理想と異なると捉えられている傾向も明らかとなり、近年のミドルキャリアは、従来のルールや方法論に縛られるのではなく、世の中の動きに対して柔軟に対応する文化を好む傾向にあることが見受けられる。
調査概要
調査対象者:社会人5年目~11年目以上の管理職未満の就労者
調査時期:2024年12月24日~25日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:800人(社会人5年目107人、同6年目105人、同7年目104人、同8年目105人、同9年目103人、同10年目105人、同11年目以上171人)
(*1)
2023年中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)
2024年中堅社員の意識調査(成長実感編)
(*2) 本記事では社会人5年目以降35歳未満の役職がついていない社員を指し、「ミドルキャリア」とも記載
関連情報
https://www.all-different.co.jp/corporate
構成/Ara