特定のデータが持つ重要度を反映して平均を計算できる「加重平均」という概念をご存じだろうか。一般的な算術平均とは異なり、現実のデータ分析や意思決定に役立つ方法だ。
本記事では、加重平均の基礎から、実際の活用例、そしてエクセルを使った具体的な計算方法までを詳しく解説する。この記事を読めば、加重平均を使いこなす基礎知識が得られるだろう。
加重平均とは
加重平均とは、データの重要度や比率(重み)を考慮して平均を計算する方法である。単純な算術平均では全てのデータが均等に扱われるが、加重平均ではそれぞれのデータに設定された重みに応じて結果が変わる。
例えば、学生の成績評価では、期末試験が中間試験より重要視されることが多い。このような場合に加重平均が使われる。ビジネスや日常生活の場面でも役立つケースは多い。特に、データの影響度が均等でない場合に真価を発揮する。
加重平均と算術平均との違い
算術平均は、データの総和をデータの数で割る計算である。全てのデータが等しく扱われるため、簡便で使いやすい。
一方、加重平均は各データに異なる重みを与えるため、特定の条件を考慮した計算が可能である。
実例:中間試験と期末試験の点数で比較
中間試験80点(重み30%)、期末試験90点(重み70%)の場合を考える。
算術平均
(80+90)÷2=85
加重平均
(80×0.3)+(90×0.7)=87
このように、重みによって結果が異なる点が加重平均の重要な特徴だ。特に、算術平均ではデータの重要度を考慮できないため、加重平均が必要な場合も多い。
加重平均の実例とエクセルで計算する方法
加重平均は、学校の成績評価、投資分析、顧客満足度調査など、さまざまな場面で利用されている。ここでは具体例を3つ挙げ、それぞれエクセルで計算する方法も併せて紹介する。
■1.学校の成績評価を計算する例
学校では、試験や課題などの成績に重みをつけて総合評価を行うことが多い。この際に加重平均が活用される。
データ例
A列に科目名、B列に点数、C列に重み(小数で入力)を入力する。
例:30%は0.3として入力。
A6セルに以下の計算式を入力する:
=SUM(B2:B4*C2:C4)/SUM(C2:C4)
Enterを押せば、加重平均が計算される。結果は86点となる。
この方法を応用すれば、他の成績評価でも同様に計算できる。
■2.株式ポートフォリオの平均利回りを計算する例
株式投資では、異なる銘柄の利回りを全体としてまとめて評価する必要がある。この場合も加重平均が有効である。
データ例
A列に株式名、B列に利回り、C列に投資額を入力する。
A5セルに以下の式を入力する:
=SUM(B2:B3*C2:C3)/SUM(C2:C3)
Enterを押すと、加重平均利回りが計算される。結果は6.33%となる。
この計算方法を用いると、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを正確に評価できる。
■3.顧客満足度調査の平均を計算する例
異なる店舗での顧客満足度調査を統合する際にも加重平均を活用する。回答者の人数に応じた重みを考慮することで、全体の満足度を正確に把握できる。
データ例
A列に店舗名、B列に満足度、C列に回答者数を入力する。
A5セルに以下の式を入力する:
=SUM(B2:B3*C2:C3)/SUM(C2:C3)
結果は86.67点となり、全体の満足度を正確に算出できる。