南海トラフ巨大地震が発生した場合に想定される被害規模を検討してきた政府の作業部会は3月31日、最大で29万8000人が死亡し、経済被害額は同292兆円に上るなどとした被害推計報告書を公表した。直接の死者のほか最大5万人以上が災害関連死し、人口で約5割が住む計31都府県764市町村が震度6弱以上の強い揺れか、高さ3メートル以上の津波に見舞われるという。
前回2012年の想定死者は32万3000人。その後12年余りの間の防災・減災対策で想定死者数が減ることが期待されたが、減少は1割弱にとどまった。新たな被害想定は確実にこの国の根幹を揺るがし、社会経済に深刻な打撃を与える内容だ。
ただ、これは現時点での対策などを分析した結果の数字で、今後国を挙げての防災・減災努力により、1人でも犠牲者を、わずかでも被害を減らすことは十分可能だ。政府や関係自治体には避難対策やインフラ整備の大幅な見直しが急務で、地域や個人のレベルでもこれまで以上に緊張感を持って事前の備えの拡充、徹底が求められる。