野球やゴルフの弾道測定分析デバイスを展開するRapsodo Japan(ラプソードジャパン)。大谷選手とは2024年4月からスポンサー契約を結ぶ。その中で、大谷選手への投打〝二刀流〟の最新デバイスを提供するサポートを行ない、CM撮影現場にも同席した同社野球部門責任者、花城健太さんに、大谷選手の活躍を支える最先端のスポーツテクノロジーと、宣伝効果や反響の大きさについて話を聞いた。
Rapsodo Japan
ベースボールビジネスマネージャー
花城健太さん
外資メーカーの営業・マーケティングからキャリアをスタート。2022年に現職の株式会社Rapsodo Japanに入社。プロダクトマーケティングマネージャーとしてマーケティング施策の立案・実行、新商品の日本市場への展開、またNPB球団の営業も担当。2024年3月より日本の野球事業を統括。
効率的な練習や技術力アップに弾道測定デバイスの活用を
――はじめに、大谷翔平選手を広告に起用した背景と狙いについて教えてください。
投球と打球、両方の高精細なデータを計測できる当社デバイスは二刀流の大谷選手にマッチするものです。もともとメジャーリーグの大多数の球団に導入されており、大谷選手もエンゼルス時代から数シーズン使用、パフォーマンスの向上に役立てていただいていました。データ活用の重要性を広めたいのが私たちの願いで、効率的な上達や自主練習に便利なツールとして、アマチュアや若い世代の間で活用されることを期待しています。
――御社デバイスではどんなことがわかるのでしょうか?
投球は球速や回転数、縦横の変化量、打球は打球速度や・角度など幅広い項目を設け、カメラとレーダーを使って計測し、その数値はリアルタイムでわかります。大谷選手愛用の最新モデル『PRO2.0』『PRO3.0』の場合、この投打計測を1台で行なえます。また、データはiPad用アプリ「Rapsodo Diamond」「Rapsodo Baseball」を通じてリアルタイムで確認することができるため、自分の感覚だけで試行錯誤するのではなく、データと照らし合わせて投打の調整が可能。大谷選手も日々データと感覚のすり合わせをしているそうです。
――大谷選手の同デバイスについての感想は?
「少年野球時代からこういう機器を活用できていれば、もっとうまくなれたんじゃないかと思います」と。大谷選手が使っているというだけでは消費者に共感してもらえないだろうと判断し、CM撮影の際に若い世代に向けたメッセージを求めて得られた言葉でした。アメリカではメジャーの選手の使用を前面に押し出す売り方をしていますが、もう一歩踏み込んでアピールしたかったという意図です。大谷選手の感想はHPで公開していますので、ぜひご覧ください。
CMではピッチャーとバッターの大谷選手が登場し、二刀流を披露。その力強い弾道をPRO 3.0で計測する様子が表現された。
――左肩手術のリハビリにも活用されているようですね。
リハビリを進める中で、数値が感覚に合っているかを確認しているとのことです。投球を開始してからも、感覚との一致・不一致を随時確かめることでリハビリもスムーズに進むのではないかとおっしゃっています。
大谷選手起用後、高校野球部への導入率は約2倍に
――起用後の効果や反響を教えてください。
私たちの機器は最低60万円程度からと高額です。高校など学校の野球部をメインの取引先としますが、部の予算のみでの購入は難しく多くの学校では保護者やOBの援助を必要とするため、資金集めは容易ではありません。そんな中で高校野球部への導入件数が、対前年比で約2倍に増えました。これは大谷選手の存在が説得材料として大きかったからだと思います。現場では効率的に上達するためのデータ活用の重要性を実感していただき、多くの指導者から「子どもたちの野球に取り組む姿勢が変わった」と評価されています。
前出ビジュアルの「数値化は常に未来のためにある」、上の「さぁ、計測を始めよう」などのキャッチコピーも印象的。
――子どもたちはどう変わったのでしょうか?
野球の指導のあり方について、「最近の子どもたちは、数字などで論理的に説明しないと聞いてくれない」と、ある指導者の方がおっしゃっていました。多くの子どもたちは感覚的な指導には納得しなくなっているのでしょう。当社機器に高い関心を示し、目を輝かせながら計測を行ってデータを分析しているという話も聞きます。データをもとに自分で考えるようになるため、自発的に練習を行なう好循環も生まれているようです。
――学校以外の場所への導入はいかがですか?
病院や野球専用の室内練習場への導入も増えています。またフィットネスクラブなど、これまで取引がなかった施設での導入も決まり、大谷選手の影響で社名や製品の知名度が上がり、販路の拡大につながっていることを実感しています。
――CM撮影現場に同席されたとのこと。その際のエピソードは?
個人的な話ですが、大谷選手と握手し、記念撮影をさせていただきました。限られた時間の中でスタッフ全員に身をかがめて手を差し伸べ、礼儀正しく挨拶された姿が印象に残っています。撮影前は近づきがたいスターという感じはなく、非常にフレンドリーでした。誰もが一発でファンになってしまう気持ちがわかりましたね。
CM撮影時の一コマ。大谷選手の左隣に写っているのが、花城さん。
――最後に、大谷選手とのタッグで今後やっていきたいことを教えてください。
投打で計測できる高精細なデータを、大谷選手はどのように活用しているのか、気になる人も多いでしょう。投球でいえば、導き出されるボールの回転数をどう調整するかなど、今後は具体的なデータ活用術に踏み込んでいければと考えています。ぜひ今後も注目してください!
Rapsodo『投打計測デバイス PRO2.0』
45万1000円~
2台のカメラと2台のレーダーで投球・打球を計測し、リアルタイムに球速や回転数、打球速度などの確認が可能。大谷選手は日々の計測でデータと感覚のすり合わせをしているそう。
問い合わせ先/Rapsodo Japan 電話:045・319・4871
取材・文/百瀬康司
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