「報連相」とは
「報連相」は「ほうれんそう」と読み、報告・連絡・相談の3つの頭文字をつなぎ合わせた、情報共有の手法です。報告・連絡・相談の言葉の意味は以下のとおりです。
・報告:業務の進捗状況を上司や関係者に伝える
・連絡:業務における事実や決定した内容を上司や関係者と共有する
・相談:業務上の問題や課題について、上司や関係者にアドバイスや意見を求める
報連相は業務の進捗状況を適切に確認し、業務を効率化したり問題を早期解決したりするために欠かせません。ここでは、報連相の目的と効果について解説します。
参考:デジタル大辞泉
■「報連相」の目的
報連相の主な目的は、業務の進捗状況の把握です。遅延が生じていても、報連相が徹底されていれば、上司や周囲の関係者が素早く適切な対策を講じたり、部下をサポートしたりすることが可能です。
また、報連相を通じてコミュニケーションを重ねることで、上司や部下、同僚間などで信頼関係が構築されるでしょう。
さらに、部下の得手不得手を把握する材料にもなり得ます。相談が多く進捗状況が思わしくない場合は苦手と判断できるため、弱点に応じた指導や教育ができるほか、適材適所の人員配置が可能になるでしょう。
■「報連相」による効果
報連相を徹底することで、業務効率化につながります。担当者だけでなく上司も業務の進捗状況を適切に把握することで、適切に指示が出しやすくなる、無駄な作業が減るといった効果が期待できるためです。それによりトラブルの回避や、問題の早期解決も実現しやすくなります。
■「報連相」の例文
報連相を使った例文は、以下のとおりです。
・プロジェクトの進捗状況については、報連相を徹底しましょう
・新入社員はとくに、報連相を行うことを心がけてください
・報連相を怠ったために、状況がさらに悪化した
・報連相の習慣が根付けば、組織全体の業務効率が向上するでしょう
「報連相」を効果的に行うためのポイント
報連相を効果的に行うためのポイントとしては、以下の6点が挙げられます。
・適切なタイミングで行う
・結論から述べ始める
・私見と事実を区別する
・相手の都合を考慮する
・解決策も考えておく
・悪い報告こそ早めに報告する
それぞれのポイントについて確認しましょう。
■適切なタイミングで行う
報連相は、適切なタイミングで行いましょう。悪い報告が遅れると対策が後手に回り、問題が拡大するリスクがあります。ただし、どのような内容でも逐一報告すべきというわけではありません。判断材料の少ない内容を早すぎるタイミングで伝えても、聞く側が対応の判断ができず、手を煩わせるだけの結果となりかねません。
■結論から述べ始める
報連相では、結論から述べ始めることが欠かせません。要点から伝えることで、相手は内容を理解しやすくなります。詳細の内容は後に続けて補足し、状況に応じて質問や意見を求めるという流れで行うことで、効率的に報連相を行えるでしょう。
■私見と事実を区別する
状況を説明する際には私見と事実を区別し、事実のみを伝えるようにすることも、報連相を効果的に行うためのポイントです。報連相を行う際に自分の感情を交えてしまうと、伝えられた側はどこまでが事実であるかの判断が困難になり、誤解や混乱を招いてしまうためです。報連相の内容が事実のみであれば、適切な指示を出しやすくなります。
■相手の都合を考慮する
報連相を行う際は、相手の都合を考慮しなけれななりません。たとえば上司が緊急の案件に取り組んでいたり、重要な会議に出席していたりする最中に報告や相談をしても、望むような対応は得られないでしょう。それだけでなく、相手の業務を中断してしまい迷惑をかけてしまう場合もあります。相手の都合の良いタイミングを見計らう意識も求められます。
■解決策も考えておく
報告や連絡をするだけで、判断を常に相手に委ねることは避けましょう。自分なりの解決策も考えて伝えることで、迅速な問題解決につながると考えられます。解決策も添えて提案を行えば、主体性を評価され、信頼性を高められる可能性もあるでしょう。
■悪い報告こそ早めに報告する
報連相では、悪い報告こそ早めの報告が求められます。タイミングが遅いと打つ手が限られてしまい、問題解決できない場合があるためです。部下に対しては、対処に迷った際は自身で判断する前に早い段階で相談するように促すなど、報連相のコツを伝えておくことが欠かせません。
報連相ができない人の特徴
報連相は、業務の効率化や早期の問題解決に欠かせません。しかし、報連相がなかなかできない人もいます。報連相ができない人の特徴は、以下のとおりです。
・報連相の重要性を理解していない
・相手の視点で考えられていない
・極端にプライドが高い
それぞれの特徴を解説します。
■報連相の重要性を理解していない
報連相がうまくできない場合、その重要性を理解していない可能性があります。「結果が出れば、報連相は必要ないのではないか」などと考えていると、1人で仕事を抱え込んでしまい、途中で問題が起きても誰にも相談できずにパンクしてしまうことも少なくありません。
報連相が十分にできていない従業員が多いときは、研修などで改めて重要性を伝える必要があるでしょう。
■相手の視点で考えられていない
相手の視点で物事を考えられていないことも、報連相が徹底できない要因の1つです。ほとんどの業務は、個人で完結するわけではありません。業務を俯瞰できていないと、「自分の前後で業務に関わる人が何をしているのか」「有事の際に対応するのは誰なのか」といった視点が抜け落ち、自分さえわかっていればいいと考えてしまいがちです。
このような従業員に対しては、自分にとっての都合ではなく、上司や周囲のメンバーにとって都合を考えられるように指導することが大切です。
■極端にプライドが高い
極端にプライドが高いと、報連相を怠る傾向がみられます。「この程度のトラブルは自分だけで解決できる」というように、何か問題が生じても自分だけで解決しようとし、結果的に事態がさらに悪化してしまうこともあり得ます。このようなタイプに対しては、早期の問題解決を図るためにも、こまめに報連相を行うように日頃から促しておく必要があるでしょう。
「報連相」される側の心得は「おひたし」
報連相をしやすいように、報連相される側にも一定の心得が必要です。具体的には、「怒らない」「否定しない」「助ける」「指示する」ことが求められ、各言葉の頭文字を取って「おひたし」と呼ばれています。
報連相される側の「おひたし」について、順番に解説します。
■怒らない
報連相の内容が部下のミスに関するものであっても、怒らないことがポイントです。報連相を受ける側が感情的になってしまうと、部下は上司に必要な事柄を共有しにくくなり、報連相の頻度が減ってしまいかねません。
■否定しない
部下の意見を、頭ごなしに否定しないようにすることも大切です。報連相を受けた際、部下と意見が異なる場合でも、否定から入らずに最後まで聞くようにします。自分の意見を伝えるのは、話を聞き終えた後にしましょう。
■助ける
部下が困っていることが報連相でわかったら、速やかにサポートするようにしましょう。部下が自ら上司に助けを求めることはハードルが高いため、とくに経験が浅い部下に対しては上司が状況を把握し、助け舟を出す必要があります。
■指示する
報連相を受けたら、部下の置かれている状況に応じた指示出しをします。ただし、ある程度自分で対応できそうな部下に対しては、「指示待ち」の状態に陥らないように、自主的に考えさせる余地を残して方向性を示す程度にとどめ、部下の成長を促しましょう。