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ビジネスシーンにおける「シナジー効果」とは?反対表現は何と言う?

アットダイム 2 週 前
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シナジー効果とは

ビジネスシーンにおけるシナジー効果とは、複数の企業や組織、人などが協力したり提携したりすることで、それぞれが単独で活動するよりも大きな効果が生まれることを指します。具体的には、「1+1=2以上」の効果を生むような状態に対して使われます。Win-Winの関係が前提であるため、片方のみが利益を得るような場合は、シナジー効果が生まれたとはいえません。

もともと「シナジー」は、筋肉や神経など2つ以上が連携して作用することにより相乗効果を生むという意味で、生理学や生物学分野の専門用語として使われていました。そこから派生して、シナジー効果としてビジネスシーンで使われることが増えています。

「シナジー効果を最大限に活用して、業務の効率化を図った」「シナジー効果により、プロジェクトの総コストを削減できた」などと使います。ここでは、シナジー効果の類似表現や反対表現を確認していきましょう。

類似表現は相乗効果や相乗作用

シナジー効果の類似表現は、「相乗効果」や「相乗作用」です。いずれもシナジー効果と同様に、2つ以上の要因が組み合わさることで、単独のときの作用の和を上回る効果を発揮する現象を指す言葉です。相乗効果や相乗作用を使った例文については、以下をご参照ください。

【例文】

・A社とのコラボレーションにより、相乗効果が期待される新製品が完成した

・このプロジェクトは、異なる部署間の相乗効果によって成功した

・相乗作用を促進するための新しいシステムの導入が必要だ

・相乗作用を得るためには、積極的なコミュニケーションが必要だと考えられる

反対表現はアナジー効果

シナジー効果の反対表現は、「アナジー効果」です。2つ以上の要因が組み合わさることで、それぞれが独立して生み出す効果よりもマイナスになってしまう状態を指します。通常、2つのものを統合させることでプラスの効果を得られればシナジー効果、マイナスになってしまう場合はアナジー効果と表現されます。アナジー効果を使った例文は、以下のとおりです。

【例文】

・経営者同士の思想の違いが、アナジー効果を生んだと考えられる

・企業の統合によってシナジー効果を狙ったが、もたらされたのはむしろアナジー効果だった

・合併前よりも経営状況が悪化した。まさにアナジー効果によるものだ

ビジネスにおける3種類のシナジー効果

ビジネスにおけるシナジー効果として挙げられるのは、以下の3種類です。

・事業シナジー

・財務シナジー

・組織シナジー

それぞれのシナジー効果について解説します。

事業シナジー

事業シナジーとは、複数の事業者が協力あるいは提携などをすることで得られるシナジー効果のことです。経営資源の共用やスケールメリットによって収益が向上するなど、事業の推進に直接関わるシナジー効果が該当します。

ビジネスシーンにおいてシナジーという言葉が用いられるときに、一般的にイメージされるのはこの効果であることが多いでしょう。事業シナジーでは、スケールメリットやコストの削減、求める人材の確保などの効果が期待できます。

財務シナジー

財務シナジーとは、企業の統合や合併によって生じるシナジー効果のうち、お金や税金に関して得られる効果のことです。企業統合や合併後の財務活動の改善によって、将来にわたり売上増やコスト削減をもたらす効果などを意味します。財務シナジーの実現には、財務戦略の策定や適切な資金管理が欠かせません。

組織シナジー

組織シナジーは、企業や部門同士が互いに協力して活動することによって得られる、組織に関するシナジー効果のことです。事業部門の集約による業務効率化や、働きやすい環境に変化することによる従業員のモチベーション向上などが挙げられます。

組織シナジーを得るためには、組織文化の統一や風通しのよい職場づくり、コミュニケーションの活性化が求められます。

事業シナジーで得られる3つの効果

事業シナジーによって得られる主な効果は、以下の3つです。

・スケールメリットの獲得

・コストの削減

・人材の獲得

 

それぞれの効果について見ていきましょう。

スケールメリットの獲得

事業シナジーによって、スケールメリットを獲得できます。スケールメリットとは、ビジネスの規模の拡大で得られる効果のことです。

製造業を例に挙げると、製造量の増加に伴い、設備費や人件費などの固定費の割合は少なくなっていきます。このように事業規模が拡大することによってコストが削減されて利益率が高まっていくことを、「スケールメリットが生まれる」といいます。

利益率向上のほか、競合他社に対する優位性の獲得も、事業シナジーによるスケールメリット効果といえるでしょう。

コストの削減

コストの削減効果も、事業シナジーによって得られる効果の1つです。複数の事業者が合同して事業を行うことで、重複している部門の見直しやカットができる可能性があります。また、大量に仕入れられるようになり、仕入れコストの削減にもつながるでしょう。

複数の事業者が同じ経路を使って商品を運んでいる場合は、運搬作業を共同して行うことで配送費や人件費を削減することも可能です。

人材の獲得

M&A(企業の合併・買収)を行うことで、買収先企業の優秀な人材を獲得しやすくなります。優秀な人材は、企業の成長や業績の向上に欠かせない存在です。そのため、事業シナジーの効果として人材を獲得できることは大きなメリットといえます。

財務シナジーで得られる2つの効果

財務シナジーで得られる主な効果は、以下の2つです。

・余剰資金の活用

・節税効果

 

それぞれの内容を解説します。

余剰資金の活用

財務シナジーの効果として、余剰資金の活用が挙げられます。余剰資金を手に入れられるケースとしては、M&Aで企業の買収を行う際、売り手企業の業績が好調で手元資金が潤沢にある場合などがあるでしょう。また、将来性のあるベンチャー企業に資本参加するケースも当てはまります。

手に入れた余剰資金を新たな投資に回すことで、さらに大きなシナジー効果を生み出せる可能性があるでしょう。

節税効果

財務シナジーで得られる節税効果としては、たとえば、M&Aによる買収において、売り手企業の繰越欠損金などの債務を受け継ぐケースなどが挙げられます。

繰越欠損金は、発生してから7年間は黒字と相殺することが可能です。そのため、買い手企業が大きな黒字を出している場合は繰越欠損金と相殺でき、節税効果が得られます。

組織シナジーで得られる2つの効果

組織シナジーで得られる主な効果は、以下の2つです。

・生産性の向上

・競争力の強化

 

それぞれの効果について解説します。

生産性の向上

組織エナジーによって、生産性が向上することがあります。企業の統合や、企業内の部門・チーム間が協力することによって情報やリソースを共有し、作業効率が向上するケースなどが当てはまるでしょう。

たとえば、製造部門と物流部門の連携によって生産と物流の計画を調整できれば、適切な在庫管理や生産ラインのスムーズな稼働が実現します。

競争力の強化

競争力の強化も、組織エナジー効果の1つです。企業の統合や合併によって規模やリソースが拡大し、競争力が強化するケースが該当します。また、異なる部門やチームが連携し、それぞれの専門知識やスキルを持ち寄りプロジェクトを進めることで、より効果的な戦略が生まれる可能性が高まります。

シナジー効果を得る方法

シナジー効果を得るための具体的な方法は、主に以下の4つです。

・業務提携

・M&A

・グループ一体経営

・多角化戦略

 

それぞれの方法について確認しましょう。

業務提携

業務提携とは、通常、資本の移動を伴わずに、企業が共同で事業を行うことを指します。双方の企業が技術や資金、人材などの経営資源を提供し、互いの強みを活かしたり弱みを補い合ったりすることでシナジー効果を獲得します。

業務提携のうち、とくにシナジー効果が生まれやすいのは、「販売提携」と「技術提携」だといえるでしょう。販売提携とは、製品販売やサービスの提供を、提携先に委託する方法です。中小企業やベンチャー企業のように、自社の販売網が確立されていない企業にとっては、販売網を確保するために有効な手法といえます。

また、技術提携とは、他社に対して自社の技術や特許を開放し、新たな技術開発や製品の生産などに活かすための方法です。技術提携の事例としては、電動化技術を誇る自動車メーカーと小型車製造の実績がある自動車メーカーが提携し、新たな小型電気自動車の開発を目指すケースが挙げられます。

M&A

M&Aを行うことで、企業はスケールメリットの獲得や事業の多角化、業務効率化などのシナジーを得られます。売り手企業の繰越欠損金を活用した節税メリットを享受できることも、M&Aの特徴といえるでしょう。

M&Aは、買収する企業の業種や業態に応じて、以下のような種類に大別されます。

 

・水平型:同一業種・業態の企業を買収する

・垂直型:流の川上から川下までワンストップのサービス提供体制を構築する

・コングロマリット型:異業種参入を目指し他業種の企業を買収する

・周辺市場進出型:自社の本業を「補完する」機能・事業を持っている会社を買収する

 

水平型M&Aのメリットは、既存事業を強化できるというシナジー効果を生み出せる点です。垂直型M&Aは新規事業に進出しやすくなるほか、上流・下流が同一企業となりマージン分を考慮する必要がなくなるため、コスト抑制につながります。

また、コングロマリット型M&Aによるによる異業種への参入は、ビジネスモデルのリスクヘッジ効果を期待できることから注目を集めています。周辺市場進出型M&Aは、進出する事業と既存の事業に共通項が存在することが多いため、あまり大きな労力をかけずに新規事業への参入ができる点がメリットといえるでしょう。

グループ一体経営

グループ一体経営とは、同一のグループ企業内で共通する事業を統合する方法です。とくに、金融業界に多く見られる傾向があります。

リソースの効率的な活用や技術・ノウハウの共有などによって、グループ全体の競争力強化やコスト削減などのシナジー効果が期待できます。

さらに、親会社がグループ全体のメリットを考慮してグループ企業の戦略を立てることによる、シナジー効果も得られるでしょう。

多角化戦略

多角化戦略とは、経営資源を新たな事業分野に投下し、既存のマーケットとは別の場所で事業展開していく戦略のことです。自社の設備やノウハウを新たな分野での事業展開に流用することで、既存事業とのシナジー効果が期待できます。

多角化戦略は、さらに以下の4つに分類できます。

 

・水平型多角化戦略:既存事業の顧客を対象に新商品を投入する

・垂直型多角化戦略:バリューチェーンの川上から川下、または川下から川上へと領域を広げる

・集中型多角化戦略:既存の技術か顧客の片方もしくは両方が関連する領域へ進出する

・集成型多角化戦略:既存の事業と関係のない事業に進出する

 

水平型は、企業がこれまで培ってきた技術を利用する多角化戦略です。たとえば、自動車メーカーがオートバイの市場に進出するケースなどがこれにあたります。垂直型の例としては、食品メーカーが川上の食材を生産する農園や川下のレストランなどの事業を行うケースが挙げられるでしょう。

集中型にあたるのは、既に持っている技術を活用して新規の市場に参入する戦略であり、カメラメーカーが医療分野に進出した事例が有名です。集成型は既存事業の業績が悪化しても影響を受けにくい点がメリットである一方、ほかの多角化戦略と比較して既存技術・市場に対するシナジー効果が低く、リスクの高い戦略といえます。

シナジー効果を狙う際に注意すべき点

シナジー効果を狙う際、主に以下の3点に注意しましょう。

・組織が疲弊するリスクがある

・従業員の離職リスクがある

・情報管理を徹底する

 

それぞれの内容を解説します。

組織が疲弊するリスクがある

異なる文化を持つ企業同士、あるいは業務プロセスを統合する際に、従業員に大きなストレスを与えてしまうリスクがあります。

そのため従業員が疲弊し、仕事へのモチベーションが低下してしまう恐れがあることを認識して、計画の策定を行わなければなりません。従業員に対してしっかりと状況説明を行う、サポート体制を構築するなどの対策も必要です。

従業員の離職リスクがある

シナジー効果の追求は、従業員の離職につながりかねない点にも注意が必要です。企業には、それぞれ培ってきた文化や風土を持っています。統合・合併は、それぞれの企業文化や風土に変化を及ぼすでしょう。従来の企業文化や風土に愛着を抱いていた従業員にとっては、仕事へのモチベーション低下の要因となり、退職をしてしまうケースは少なくありません。

企業の統合・合併によって企業文化が変化することは、必ずしもネガティブな面だけではありません。しかし、それまでと働く環境が大きく変化することは、従業員にとって大きな不安要因となります。そのため、少しでも不安を払拭できるように、企業の統合・合併を適切なタイミングで公表したり、企業の方向性や労働条件などがどのように変化するのかしっかりと説明したりすることが重要です。

情報管理を徹底する

シナジー効果を狙ってほかの企業と連携を測る際は、情報管理を徹底しましょう。複数の企業が関与することで、情報漏洩のリスクが高まるためです。

また、統合や合併前に相手企業の情報が漏れたり、連携する企業との事業内容がリークされたりすることがないように、情報管理を行うことも大切です。情報管理がずさんな場合、協力関係が解消になるといった新たなリスクを招くこともあります。

シナジー効果を獲得した企業事例

ここからは、業務提携やM&Aなどによってシナジー効果を獲得した企業の事例をご紹介します。

【業務提携】トヨタ自動車・スズキ

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)とスズキ株式会社(以下、スズキ)は、業務提携によってシナジー効果を生み出しました。

2019年3月に資本提携を発表し、相互に株式を取得しました。資本提携では、一方の企業が提携先企業の株式を取得する、あるいは相互に株式を持ち寄って提携関係を築きます。

トヨタの電動化技術とスズキの小型車技術を持ち寄り商品補完を進めることに加え、スズキがインドで生産する小型車をトヨタにOEM供給するなど、商品の共同開発や生産領域での協業などに取り組んでいます。また、部品などの調達を共有化してコストを下げることでも、シナジー効果を得ているといえるでしょう。

参照元:トヨタ自動車株式会社 スズキ株式会社「トヨタとスズキ、資本提携に関する合意書を締結」

【M&A】大正製薬

大正製薬ホールディングス株式会社(以下、大正製薬)は、2016年12月にドクタープログラム株式会社(以下、ドクタープログラム)を買収しました。この買収は、M&Aによるシナジー効果が目的といわれています。

ドクタープログラムは、機能性基礎化粧品「トリニティーライン」を中心としたスキンケア領域を主軸に事業展開している会社であり、大正製薬はその全株式を取得、完全子会社化をしました。

このM&Aにより大正製薬の通販事業の強化を測るとともに、スキンケア領域の効率的な拡充を図り、シナジー効果を獲得しています。

参照元:大正製薬ホールディングス株式会社「キョーリン製薬ホールディングス株式会社の連結子会社であるドクタープログラム株式会社の株式取得に関するお知らせ」

【グループ一体経営】LIXILグループ

LIXIL株式会社(以下、LIXIL)はシナジー効果を狙い、2012年7月に子会社105社の会計システムの統合を行いました。もともとLIXIL誕生に際して、建築材料・住宅設備機器の大手5社が統合した経緯があり、各社が異なる会計システムを使用していました。LIXILだけでなく子会社もすべてシステム統合を行うことで、会計部門の共通化を推進しています。

その結果、各社の業績をリアルタイムで把握できるようになり、迅速な経営判断が実現するなどのメリットを得られるようになりました。

【多角化戦略】富士フイルム

富士フイルムホールディングス株式会社(以下、富士フイルム)は、デジタルカメラや化粧品、医薬品、再生医療などの多角化戦略を成功させてシナジー効果を得ています。

かつて全社売上の50%以上を占めていた写真フィルム事業は、デジカメの登場とともに下降線を辿りました。しかし、富士フイルムが成功したのは、写真フィルムの需要低下を見据えて早期に事業を多角化したことにあるといわれています。また、既存事業の技術を新規事業に活用したことも成功要因といえるでしょう。

写真フィルムの主原料は、肌の弾力を維持するコラーゲンです。そのほかにも、フィルムの劣化を防ぐ抗酸化技術はアンチエイジングに応用できるなど、写真フィルム事業と化粧品事業は技術の連続性がありました。さらに、化粧品分野の後発企業として成功するために、美しさなどの感性価値を訴求するほかの企業と差別化を図り、徹底的に機能性を訴求したことで多角化戦略を成功させました。

シナジー効果を獲得してビジネスを成功させよう

ビジネスシーンで用いられるシナジー効果は、複数の企業や組織、人などが協力したり提携したりすることで、個々に活動するよりも大きな効果が生まれることを指す言葉です。

もともと「シナジー」は、生理学や生物学分野の専門用語として、筋肉や神経など2つ以上が連携して作用することで相乗効果を生むという意味で使われていました。そこから、ビジネスシーンではシナジー効果として使われることが増えています。シナジー効果の類似表現は「相乗効果」や「相乗作用」であり、反対表現は「アナジー効果」です。

ビジネスシーンにおけるシナジー効果には、「事業シナジー」「財務シナジー」「組織シナジー」の3つがあります。

シナジー効果を得ようとする際、組織が疲弊したり、従業員の離職リスクが高まったりすることがあるため、注意が必要です。とくに企業の統合・合併は、従業員に大きなストレスを与えてしまう可能性があるため、適切なタイミングでの公表や十分な説明が求められます。

また、複数の企業が関与することで情報漏洩のリスクが高まるため、情報管理の徹底も欠かせないでしょう。これらの点を考慮したうえでシナジー効果を獲得し、ビジネスを成功させましょう。

 

構成/橘 真咲

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