今やスマホの計算機機能を使えば、簡単に足し算、引き算、掛け算、割り算ができる時代だ。そのため、電卓さえ持っていない人も多いかもしれないが、そんな中で、アナログな計算用具である「そろばん」を我が子に習わせている親は、どんな意図で子どもを教室に通わせているのだろうか?
全国珠算教育連盟はこのほど、東京23区のそろばん教室に通う小学生以下の子どもを持つ親を対象に「そろばん」に関するアンケート調査を実施し、348人から回答を得た。
4人に3人が「小学1年までにそろばん学習を開始」
そろばんを習い始めた時期は小学1年が最も多く、そろばんを習う子の43.7%を占める。小学校入学前から始める子も多く、全体の31.6%に上った。それらを合計すると、小学1年までに習い始めるのは、4人に3人(75.3%)という高い結果となった。
中学受験を予定する約9割が「小学1年までにそろばんを開始」
本調査では、子どもの「中学受験の予定」についても聞いており、「はい、その予定です」と回答した親(77人)に絞り、開始時期を集計したところ、88.3%が小学1年までに習い始めていることがわかった。
「受験させるかどうかを検討しており、おそらく受けさせる方向で進んでいる」と回答した親(52人)を含めても、同じく87.6%が小学1年までにそろばんを始めさせている。中学受験への意識の高い親ほど、子どもが小さいうちからそろばん習わせていることがわかった。
83%が「計算能力がつく」、約4割が「集中力がアップした」と回答
そろばんを習わせる理由は「計算能力の向上」が85.6%と最も高く、実際に習わせた結果、「計算能力がついてきた」と回答した親も8割を超える良い結果(82.8%)となった。
習わせる理由と習ったメリットで2番目に多いのは、ともに「集中力アップ」だった。また、「中学受験に有利」という理由で、そろばんを習わせる親も12.1%と一定数いた。
算数が得意でない子ども、そろばんで成績アップ、日常生活にも好影響
そろばんを始めて「計算能力がついてきた(288人)」と回答した親で、「もともと算数の成績が良かった(66人)」子どもと無回答(11人)を除いた場合の、算数の成績などについても分析した。
その結果、「算数がもともと得意でない子(211人)」の6割弱(56.9%)が「算数の成績が向上」してきており、さらにその8割強(80.6%)が「日常の買い物や会話、学校生活など、日々の生活で好影響を及ぼすようになった」と回答した。
そろばんを習わせる親の56%が子どもの中学受験意向あり
実際に「中学受験をする予定」があるか聞いたところ、明確に「その予定」と回答したのは22.1%で、「おそらく受けさせる方向」を加えると37.1%が、その方針であることがわかった。また「どうしようか検討しており、どちらにしようか迷っている」という層まで含めると、55.7%が受験意向を示している。
理系を希望する親が文系を希望する親の約6倍、興味を抱いてほしい分野2位にAI・人工知能
子どもの将来、「理系」か「文系」かに関する進学意向について、「どちらにも当てはまらない」も含めて聞いた。
「理系」と答えた親は全体の48.0%で、「文系」と答えた親の7.8%より40.2ポイント高い結果となった。人数ベースでは理系167人に対して文系が27人と、6.2倍の差が開いている。
「文系」以外を選択した人を対象に、「将来、興味を抱いてほしいと期待する分野」を聞いたところ、「医薬系」が42.5%とずば抜けて高く、今話題のAI・人工知能をはるかにしのいだ。
<調査概要>
調査期間:2024年4月9日(火)~6月21日(金)
回答者数:348人
※調査は全国珠算教育連盟の東京都支部に所属するそろばん教室の協力を得て実施している。
構成/こじへい