「お粗末様でした」は、誤って認識されやすい言葉である。もし間違えたまま使っていると、築いてきた人々との関係にも影響しかねないだろう。
そこで本記事では、「お粗末様でした」の意味・語源や使い方を解説していく。例文や言い換え表現も含め、間違った認識を正すことも目的としているので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
「お粗末様でした」の意味とは
「お粗末様でした」を辞書で引くと、意味が以下の通りだ。
[形動]他人に提供したものについて礼を言われたとき、謙遜の気持ちをこめていう語。「—でございました」 引用:デジタル大辞泉(小学館) |
自分から他者に何かを提供し、お礼を言われたときに返す言葉であることがわかる。謙遜の気持ちを込めて言うので、来客者全般に使えるだろう。特に、自分が発する謙遜の言葉として使うため、自分と相手の関係に使うのが適切である。横から「お粗末」と言うと失礼になるので注意が必要である。
この違いを理解したところで、次に語源について見ていこう。
■「お粗末様でした」の語源
「お粗末様でした」は、提供側が着眼点になるので、主なシチュエーションは食事の場だ。料理を振る舞った時に、謙遜して返す言葉が語源となっている。
日本は礼儀作法を重んじる風習があるが、おもてなしの精神も加味された言葉といえるだろう。料理を振る舞う側が、自分の提供したものを控えめに表現することで、相手に対する尊重と感謝の気持ちを示している。
また、この表現は、相手に対して「あなたのために最善を尽くしましたが、まだまだ足りないかもしれません」という謙虚な姿勢を表している。このように、相手を敬う気持ちを大切にする日本の文化が反映された表現といえるだろう。
「お粗末様でした」の使い方
「お粗末様でした」は、使うシーンによって注意したいポイントや表現方法が異なる。ビジネス、家庭、そしてレストランでの「お粗末様でした」の使い方を例文つきで見ていこう。
■日常シーンでの使い方
普段の日常では、食事を提供した後に使うことが多い。家族や親しい友人に対して、食事を提供した際の礼儀として使う。
例文
・「お粗末様でした。たくさん食べてくれて嬉しいです」
・「お粗末様でした。またいつでも遊びに来てください」
■ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンでは、謙遜の気持ちを込めて使用することがポイントである。食事を提供したり、主催者として参加者に対して感謝の気持ちを表すために使うことができる。特に、ビジネスの会食や親しい友人との集まりで使うのが適している。
例文
・「お粗末様でした。お越しいただきありがとうございました」
・「お粗末様でした。また次回のイベントでお会いできるのを楽しみにしています」
■レストランでの使い方
レストランや飲食店では、料理を提供した後、お客様に対して使うことが多い。お客様への感謝と謙遜の気持ちを込めて使用する。
例文
・「お粗末様でした。またのご来店をお待ちしております」
・「お粗末様でした。お口に合いましたでしょうか?」
このように、「お粗末様でした」はさまざまなシーンで使うことができる便利な表現である。特に、日本の礼儀作法やおもてなしの精神を表す言葉として、相手に対する感謝や謙遜の気持ちを伝えるために適している。相手との関係をより良くするためにも、適切なシーンで上手に使い分けていこう。
「お粗末様でした」の言い換え表現
「お粗末様でした」は、使い分けができてこそマスターしたといえる。そこで「お粗末様でした」よりも簡単に使える2つの言葉を紹介するので、ぜひとも覚えておこう。
■お口に合いましたか
「お口に合いましたか」は、「お粗末様でした」と使い分けたい類義語である。「お口に合いましたか」は相手から料理の感想を引き出すことができる。
対話が成り立つため、感想を聞きたい時に使うと良い。また、「お粗末様でした」の意味が伝わらない相手でも使えるので、場の雰囲気を壊さずに済むのも利点である。
■どういたしまして
「どういたしまして」は、「なにかをいたしたいわけではありません」の意味合いで、これ以上の言葉はないという解釈ができる。
また、「気になさらないでください」という意味もあり、「いえいえ」「とんでもない」というフランクな形で伝わる。
友人間での使用が一般的であり、目上の人に対しては使わないよう注意しよう。
■こちらこそありがとうございます
「こちらこそありがとうございます」は、感謝の気持ちを返す際に使える便利な言葉である。相手からのお礼に対して、自分も感謝の気持ちを伝えたい場合に使うと良い。
この表現は、お互いに感謝の気持ちを示すため、会話が円滑に進み、良好な関係を築く助けとなる。また、ビジネスシーンや日常のやり取りでも幅広く使えるため、場面を選ばずに活用できる。
お礼に対しへりくだって返す「お粗末様でした」
「お粗末様でした」は先述の通り、謙遜して相手に返す言葉である。目上の人物に対しても使えるうえ、お客や仲間内でも食事をテーマに活用できるだろう。
文/shiro