発がん性など健康への影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が全国の河川や地下水などから相次いで検出されており、検出地点付近の住民の不安も高まっている。政府は事態を重視し、環境省を中心に対応策を進めている。同省では現在、PFASに特化した水道水の汚染状況調査を実施中で、専門家会議では水道水の暫定目標値の見直しに向けた議論を始めた。
PFASは人工的に作られた物質で長く身近な製品にも使われてきた。代表的な物質は既に製造と輸入が禁止されているが、自然環境では分解されにくく、過去に廃棄された分が残留している。米国の環境保護局(EPA)が厳しい飲料水基準を設けるなど、欧米では基準厳格化の流れになっている。「安心・安全な水」は国民にとって重要な生活基盤だ。日本でもPFAS汚染状況についての正確な実態把握と客観的なデータに基づく適切な対策が求められている。