ヒトへの投与や備蓄が可能な人工赤血球製剤の治験に奈良県立医科大学附属病院(奈良県橿原市)が取り組む。献血での使用期限が切れた輸血用赤血球を「リユース」し、加工することで量産化に成功した。来年から治験を本格化させ、2030年の保険適用を目指す。血液型を問わず室温で2年間保存できるため、実用化できれば、離島・へき地での製剤保存や医療、大規模自然災害時などでの活用が想定できるという。
廃棄赤血球を有効活用 加工して誰でも使える
人工赤血球製剤の製造研究は国内外で半世紀以上取り組まれてきたが、安定して大量に、かつ副作用が少ないものがなかなかできずにいた。奈良県立医科大学血液内科学講座の松本雅則教授(血液学・輸血学)らのグループは、日本赤十字社(日赤)が行う献血で得られる輸血用赤血球製剤の使用期間が28日間しかないことから、これを基に長期間保存できる人工製剤を作れないかと考えた。