フジツボの船底への付着阻害剤の化学合成に、岡山大学などの研究グループが成功した。「スカブロライドF」という有機化合物で、本来はサンゴの一種であるソフトコーラルから単離できるが、天然由来では微量しか採れないことが課題だった。今回の合成法を用いて製品化できれば、毒性がなく安全で海を汚さない環境に優しい阻害剤として、船体に用いることができるという。
フジツボは岩などに強固に付着し、口を開けるようにしてプランクトンをエサにする付着生物の一種。船にくっつくと、抵抗が上がって燃費が悪くなったり、排水がうまくできなくなったりして航行に悪影響を及ぼす。それを防ぐため、塗料などの形状でフジツボ付着阻害剤が用いられているが、毒性によりフジツボを殺してしまうことや、海洋に流れると海水を汚染するという課題があった。