厚みがある細胞やミニ臓器であるオルガノイドの内部を高い解像度で生きたまま観察できる「超解像蛍光顕微鏡」をつくる技術を、大阪大学などのグループが開発した。薄いシート状の照明で見たい部分だけ光らせるのが核となる技術で、CTスキャンで人体の断層画像をつくるように細胞の断面を鮮明に見ることが可能となる。より自然な状態での生体の構造や動態を調べられるため、生物学や薬学、医学への幅広い貢献が期待できる。
細胞などを生きたまま観察するには、細胞器官を蛍光タンパク質などで光らせて光学顕微鏡で見る方法がある。しかし、空間分解能は光の波長の半分程度で、0.2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)より小さいものは見えなかった。2000年に海外の学者が縞状の光を試料に当てる「構造化照明顕微鏡(SIM)」の原理を論文発表して以降に開発が加速。現在までに研究で用いられる一般的な光学顕微鏡と比べて分解能が2倍まで改善されている。ただ、SIMにおいても見たい場所以外の光が邪魔をするという問題が残っており、試料の表面の観察にとどまっていた。
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