ビジネスシーンでよく使用される「アウトカム」という言葉。しかし、正確な意味を把握しておらず、なんとなく使っている人も意外と多いはず。
そこで本記事ではアウトカムの意味やアウトプットとの違い、対義語を解説する。また、アウトカムを活用するメリットについても、この機会にぜひチェックしてほしい。
アウトカムとは
まずは「アウトカム」の意味や使い方を見ていこう。よく似た「アウトプット」との違いもチェックしてほしい。
■アウトカムは、結果や影響を意味する
アウトカムとは、会社の業績や社会に与えた影響のこと。例えば、会社でマーケティング施策を打ち出した際に得られた結果を指す。
ビジネスでは、何を行ったかの過程も大事だが、それ以上に結果が重要になる。施策開始前に目標数値やパーセンテージを明確にするアウトカム指標を設定し、データを計測すれば、ビジネスの成果を客観的に評価できる。
アウトカムは、ビジネスシーンにおいて以下のように使用される。
【例文】
「アウトカムを分析して、次の施策の対策を立てる」
「アウトカムにマイナスの影響を与える可能性があるため、この手法は間違っている」
■アウトカムとアウトプットの違い
アウトカムと似た言葉に「アウトプット」がある。アウトプットは「出力」や「発信」を意味する。例えば本を読んで学んだ知識を、実際のビジネスシーンで活かす行為はアウトプットと呼ばれる。
アウトプットは発信するなどの「行動」を指して使われるのに対し 、アウトカムは行動した「結果」を意味している点に注意しよう。
アウトプット以外の類語
アウトカムと似た言葉にはアウトプット以外にも「インパクト」や「リザルト」などがある。ここからはそれぞれの意味を紹介する。
■インパクト
インパクトはアウトカムと同様に「結果」を意味するが、より長期的な視点で見た際の結果を表すニュアンスがある。
また、アウトカムは直接的に何かを行ったことに対する結果を意味するが、インパクトは原因となる事象が直接的または意図的なものであるかは問わず、ある行動や現象が間接的に結果に結びついた場合にも使われる。
■リザルト
リザルトは何かを行った際の「結果」を表す言葉で、アウトカムと似た意味を持つ。
しかし、リザルトは、主に数学や科学などの学術的な分野において計算や実験結果などを表す際に用いられるため、使用シーンに違いがある。
アウトカムの対義語はない?
アウトカムには正確な対義語はないが、強いて言えば「過程」を意味する「プロセス」が挙げられる。
また、「インプット」も広義ではアウトカムの対義語と言える。インプットは「自分に必要な情報や知識を取り入れて吸収する」様子を意味する言葉で、正確な対義語はアウトプットだ。しかし知識を取り入れることを「インプット」、取り入れた知識を発信して結果を得ることを「アウトカム」とすると、広い意味では対義語関係にあるとも言える。
ビジネス以外のアウトカムの意味
アウトカムは、医療や看護、介護、疫学などの分野において専門用語として使用されることもある。ここからはそれぞれの現場で使われる場合の意味を紹介する。
■医療
医療業界におけるアウトカムとは、病院での治療や検査を行った後に得られる「患者の状態の変化」を指す。アウトカムを数値化したものを「アウトカム指標」と呼び、厚生労働省では以下のように定義している。
アウトカム指標:診療後の患者の状態など「医療の結果・成果」を表す指標
(具体例):死亡率、回復率、再入院率、患者満足度 等
■看護
看護分野におけるアウトカムとは、看護師が診療の補助を行った後に得られる「患者の状態の変化」を指す。
例えば合併症の発生率や再発率、転倒や誤薬の発生率などが挙げられる。
■介護
介護業界で使われるアウトカムは、介護により得られる「利用者の状態の変化」を指す。例えば在宅復帰率や日常生活率などが挙げられる。
介護報酬では介護の質を評価する指標の一つで、アウトカム評価として導入されている。
■疫学
疫学でアウトカムとは、臨床結果の意味で使用されている。具体的には疾患への罹患率や検査結果、治療後の容態改善率などが挙げられる。
アウトカム指標を活用するメリット
最後にビジネスシーンでアウトカム指標を活用するメリットについて紹介する。
■客観的な評価が可能
アウトカム指標を活用すると、結果が数値化されるため、主観や感情などに左右されず、ビジネスの成果を正当に評価ができる。
■過去データと比較できる
アウトカム指標の設定と記録を継続的に行うと、データが貯まっていくため、過去のデータと現在のデータの比較が可能になる。比較することで変化を把握しやすくなり、問題に対して早めに対策を講じることにも繋がる。
■手段と目的が明確になる
ビジネスでは、手段と目的を混同してしまうことで、なかなか結果に結びつかないことがある。例えば、 集客を目的として広告出稿を始めたものの、いつの間にか広告を出稿すること自体が目的になってしまうなどのケースが挙げられる。結果に重きを置くアウトカム指標を活用していれば、このように手段が目的になることを防げる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部