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じつはハードルが低い?採用担当者の9割以上が「異業種から中途採用した実績あり」

アットダイム 9 月 前
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企業の中途採用・キャリア採用試験において、異業種から応募した人にはどの程度チャンスがあるのだろうか?

リクルートエージェントはこのほど、企業で働く人事担当者(中途採用業務に関与する者)を対象に、中途採用・キャリア採用をテーマとした採用担当の本音調査(1)を実施。また、企業で働く社員を対象に、転職をテーマとした社員の就業・転職意向実態調査(2)を実施した。本記事では、企業の中途採用・キャリア採用の状況や、社員の異業種転職の実態などを解説する。

中途採用・キャリア採用は「異業種転職」が主流に。「異業種×異職種」の転職パターンは過去最高値

転職支援サービス『リクルートエージェント』の転職者の業種・職種の異同パターンを見ると、2017年度以降は「異業種×異職種」の転職パターンが最多となり、2022年度は全体の39.3%となった。次に多い転職パターンは「異業種×同職種」であり、これらを合計すると全体の70%以上が「異業種」に転職していることがわかる。このような転職市場の動向を背景に、企業の採用担当者と直近1年以内の転職者を対象に「異業種転職」をテーマとした調査を実施した。

採用担当者の93.1%が異業種からの採用実績があると回答

企業の採用担当者に、異業種から応募してきた人の採用実績を確認したところ、93.1%の人が「採用したことがある」と回答した。前述の「異業種転職」の転職パターンの割合の高まりからも、多くの業界で異業種からの応募者を受け入れていることがわかる。人手不足の対応として業界未経験の人の採用を増やしたり、事業変革に向けて異業種や異職種の経験を持つ人を外部から採用している等の背景が考えられる。

選考時に重視することは、同業種の応募者と異業種の応募者でおおむね同じ傾向

このように異業種転職が増える中、企業は採用面接時にどのような観点で応募者を見ているのだろうか。

採用担当者に、応募者を選考する際に重視することを、「応募者全体」と「異業種からの応募者(異業種転職者)」に分けて確認した。まず全体として言えることは、両者で大きな傾向の違いはないということだ。

どの項目もおおむね選択率は近い数値だった。ただしその中でも、「前職での成果・実績」、「向上心」、「学習意欲」、「志望理由」といった項目は、異業種転職者のほうが若干高い選択率となった。異業種からの転職は、未経験の分野や仕事に適応してもらう必要がある。そのため、面接の時点で向上心や学習意欲が確かかどうかを重視して確認していると考えられる。

採用担当者が異業種の応募者を選考する際に重視することは、20代・30代と40代・50代で違いがある

次に、異業種転職者を選考する際に重視することを、「20代・30代」と「40代・50代」に分けて見てみよう。年代別の比較では、両者で異なる傾向が見られた。「専門性が高く特定の領域で発揮される強み・スキル」に関する多くの項目では、「40代・50代」のほうが高い選択率となった。

特に、「マネジメント経験」は顕著で、「20代・30代」に比べて13.8ptの差があった。一方で、「仕事に対する価値観や考え方」は、ほとんどの項目で「20代・30代」が「40代・50代」を上回った。傾向として、就労経験が長い「40代・50代」の異業種転職者には、専門性や知識・スキルがより期待されており、若手層の「20代・30代」には仕事に対するポジティブな考え方やスタンスといった観点が期待されていることがわかった。

1年以内転職経験者の58.7%が転職後会社への満足度が上がったと回答!異業種転職者の場合は60.4%

ここからは実際に1年以内に転職を経験した人の調査結果を解説する。転職をしたことで会社への満足度はどのように変化したかを確認した。直近1年以内の転職経験者全体と、そのうち異業種へ転職した人の結果を掲載している。

今回の調査結果では、両者ともに約60%の人が転職して会社への満足度が上がった(「とても上がった」と「やや上がった」の合計)と回答した。また、満足度が下がった(「とても下がった」と「やや下がった」の合計)という人は両者ともに10%未満となった。特に、異業種へ転職した人は、直感的には新しい業種への適応を懸念されているが、転職後には多くの人の満足度が上がっている状況が見て取れる。

異業種への転職活動時に困ったことで特徴的なものは、「自分のアピールポイントがわからなかった」「経験やスキル・資格が不足していた」など

次に、転職の際に困ったことについて見ていく。まず、直近1年以内の転職経験者全体の状況を見ると、75.4%の人が何かしら困ったことがあったと回答している。

具体的には、「自分に合った仕事がわからなかった(26.2%)」、「自分の適性がわからなかった(23.8%)」、「何から始めたらよいかわからなかった(23.0%)」といった項目が選択率上位となっている。

それでは、異業種へ転職した人ではどうだろうか。70.4%の人が転職する前に何かしら困ったことがあったと回答しており、これは全体の傾向と同様だった。しかし、具体的に困ったことでは選択率上位の項目に違いが見られる。全体と比較すると、「自分のアピールポイントがわからなかった」、「職場環境や文化が自分に適しているかわからなかった」、「経験やスキル・資格が不足していた」といった項目の選択率が高い結果となった。

これまでとは異なる業種へ挑戦する中で、自身のどのようなスキルや経験を強みとして企業へ伝えていけばよいかわからない、異業種の職場環境や組織文化にフィットできるかわからない。そういった転職活動者の不安が表れているように思われる。

異業種転職後に困ったことは、「特に困ったことはなかった」が最多。「業務に慣れるまでに時間がかかった」、「必要な知識の習得が大変だった」が続く

最後に、実際に異業種へ転職した人の入社後に困ったことについて確認した。まず、26.6%の人は、「特に困ったことはなかった」と回答した。具体的に困ったこととしては、「業務に慣れるまでに時間がかかった」、「必要な知識の習得が大変だった」が選択率上位となった。

上記設問の回答を、「転職後満足度が上がった人」と「転職後満足度が上がっていない人(変わらない人、下がった人)」に分けて確認したものが次の図だ。「特に困ったことはなかった」という項目の選択率が高いことは両者とも同様だった。しかし、具体的に困ったことに目を向けると、項目ごとに選択率の差異が大きいものが見えてきた。

「転職後満足度が上がった人」は、「業務に慣れるまでに時間がかかった」、「必要な知識の習得が大変だった」の選択率が特に高く、「転職後満足度が上がっていない人」と比べてギャップが大きいことがわかる。また、「新しい技術やツールの習得が大変だった」、「新しい仕事と自身のスキルが一致していなかった」の項目でも選択率のギャップが大きい状況だ。

異業種に転職したのだから、業務に慣れるように努力することや必要な知識を習得していくことは、当然求められるが、そういった新しい経験ができることが満足度の向上につながっていると考えられる。あまりに想定を超えるような業務内容であったり、周囲のサポートがないことは問題だが、業務に慣れること・必要な知識を習得すること等は、異業種転職における健全な苦労、困難であると言えるだろう。

一方で、「転職後満足度が上がっていない人」では、「期待と現実にギャップがあった」、「同僚のフォローが不十分だった」、「自分の適性に合っていなかった」、「働き方が合わなかった」といった項目が「転職後満足度が上がった人」と比べて選択率が高い状況だ。就職や転職では、どうしても入社して仕事を始めてみないとわからないことが発生する。

ただし、期待と現実のギャップや、自分の適性や働き方のミスマッチは、転職活動時の情報収集や転職支援サービスなどを活用することで解消することが可能だ。異業種転職となると、どうしてもその会社のビジネスモデルや仕事やスキルの内容に目がいきがちだが、そもそも自分が転職やキャリアチェンジに何を求めるのか、土台となる働き方はどうあると望ましいのかを検討することが大切だろう。

見逃してはいけないのは、「同僚のフォローが不十分だった」、あるいは、「職場になじめなかった」という項目ではないだろうか。「転職後に満足度が上がっていない人」は、職場における周囲からのサポートが実感できていない状況だ。

多くの人は新しい環境へ踏み出す際、期待とともに「不安」を抱えている。異業種への転職ともなればなおさらだろう。新しい環境でいち早くパフォーマンスを発揮するためには、その人自身の努力はもちろんのこと、周囲の支援や協力が不可欠であること。本調査の結果は、企業や職場が一緒になって転職者を支援することの重要性を示唆している。

解説~異業種への転職は増加し、満足度も上昇。異業種転職を検討する際のポイントは?~

今回のインターネット調査から、「異業種への転職」は珍しいものではなく、多くの方がチャレンジできる機会になってきていることがわかりました。異業種へ転職した方は特に、転職活動時には「自分のアピールポイントがわからなかった」、「職場環境や文化が自分に適しているかわからなかった」、「経験やスキル・資格が不足していた」といった困り事を抱えていたことがわかりました。

ご自身のどのようなスキルや経験を強みとして企業へ伝えていけばよいかわからない、異業種の職場環境や組織文化にフィットできるかわからない。『リクルートエージェント』にも、そういった不安をご相談くださる方が非常に多くいらっしゃいます。キャリアアドバイザーがお一人おひとりの不安に寄り添い、どんな仕事が適職なのか?どんな仕事の可能性があるのか?

面接の場に応じてどのように自己アピールや志望理由を企業に伝えるべきなのかなど、日々さまざまなご相談に乗っています。中には、旅行代理店営業職からRPAエンジニア、店舗販売職からシステムエンジニア、美容師からインターネット業界の営業職への転職事例も出てきています。

こういった転職のご支援の際には、今の仕事における成功体験を通じて強みを獲得する事も非常に重要です。また、異業種への転職を目指す場合には、受けたい会社のことだけではなくアンテナをより高く持ち、ご自身の強みをどう生かしていけるのかを企業にうまく伝えていくことが重要になってくるでしょう。

異業種へ転職した人は、直感的には新しい業種への適応を懸念されていますが、転職後には多くの人の満足度が上がっているということもわかりました。一方で、転職後に満足度が上がっていない人では、「期待と現実にギャップがあった」、「同僚のフォローが不十分だった」、「自分の適性に合っていなかった」、「働き方が合わなかった」といった困り事が目立ちました。

期待と現実のギャップや、自分の適性や働き方のミスマッチは、転職活動時の情報収集や弊社が提供しているような転職支援サービスなどを活用することで解消することが可能です。異業種転職となると、どうしてもその会社のビジネスモデルや仕事やスキルの内容に目がいきがちですが、そもそも自分が転職やキャリアチェンジに何を求めるのか、土台となる働き方はどうあると望ましいのかを検討することが大切でしょう。

解説者:
HRエージェントDivisionカスタマーサービス統括部統括部長
熊本優子(くまもとゆうこ)氏
大学卒業後、半導体メーカーで法人営業職。その後リクルートへ転職し人材紹介事業の法人営業やキャリアアドバイザー、組織マネジメントに従事。2024年現在、『リクルートエージェント』のキャリアアドバイザー組織を統括。

≪グラフを見る際の注意点≫
%を表示する際に小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計値と計算値が一致しない場合がある。

<調査概要>
(1)採用担当の本音調査
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の従業員50人以上の企業で働く正社員(20歳~69歳)で、中途採用業務に関与する人
有効回答数:305人
調査実施期間:2024年1月31日(水)~2024年2月5日(月)
調査機関:インターネットリサーチ会社

(2)正社員の就業・転職意向実態調査
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の企業で働く正社員(20歳~59歳)
有効回答数:1,339人※本リリースでは全体のうち、1年以内転職経験者である329人を集計対象とした
調査実施期間:2024年1月30日(火)~2024年2月2日(金)
調査機関:インターネットリサーチ会社

出典元:リクルートエージェント

構成/こじへい

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