Content Authenticity Initiative
AIの進化に伴って、懸念が高まるディープフェイク。その対策としてコンテンツの来歴情報を記録し、メディアなどが使用する際に信頼性を担保できる仕組みを作ろうとしている団体がCAI(Content Authenticity Initiative)だ。2019年に発足し、ハードウェア、ソフトウェア、半導体メーカーといったIT関連の企業をはじめ、新聞社や通信社などを含む1500以上のメンバーが参加している。
すでにライカ製デジタルカメラや『Adobe Photoshop』などに組み込まれていて、撮影や編集の来歴を確認できるWebサイトもある。来歴の記録には、標準化団体であるC2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)で策定された規格を採用。このC2PAには最近、グーグルが参加したことでも注目されている。
ボードメンバーを務めるアドビのCAI担当シニアディレクターのアンディー・パーソンズさんは「生成AIが広がりを見せる中、コンテンツの信頼性、透明性を保つ技術が広く導入されるよう、オープンソースとして提供することが重要。グーグルの参加はその認知拡大に向け、大きなインパクトになる」と期待をにじませる。
来歴を記録する仕組みには、Open AIやクアルコムなども対応を表明している。近い将来、スマホにも導入され、誰がいつ撮った(作った)画像なのかが、わかるようになるかも!?
CAIが目指すコンテンツ認証の仕組み
例えば写真なら、撮影された瞬間から、編集して公開されるまでの情報をすべて来歴として記録し、閲覧できるようにする。コンテンツが加工されたものかどうかを、いつでも確かめられるようになるわけだ。
画像に様々な来歴データを記録
右上の表示は、コンテンツの来歴記録の一例。すでに専用のサイトなどで、画像の来歴記録を確認できる仕組みも提供されている。誰がいつ、どんなツールを使ってこの画像を作成したのかが一目瞭然だ。
取材・文/太田百合子